従弟が自閉症であることをきっかけに児童福祉の道へ、大学では臨床心理学を専攻
大学1回生のころから放課後デイサービスでのアルバイト経験の後、児童館等での勤務を経験、常に多くの子どもたちと関わってきました。
ASTEPのブログをご覧の皆さま、初めまして!今回は私〖まつむらせいな〗が、”みんなで作ろうクリスマスツリー”を評価していきます!
この取り組みは、先月(11月)にも行った活動の改良Verとして、クリスマスも近いという時期的特性を踏まえて立案させていただきました。
公園の至るところにオーナメントを隠し、お宝探しの要領で活動を進めていきました。
その中で行った具体的な支援や言葉掛けというものを皆さまにお伝えしていきますので、関わりの参考としていただけたらと思います。
目次
活動立案の背景
どこの事業所でもクリスマスツリーは冬時期になれば飾られるところがほとんどだと思います。そして、ツリーの飾りも子ども達で活動の一環として取り組まれているところもあるでしょう。
ふと「ただ飾るだけでなく、療育として活動できないか?」と考えました。
そこで、以前行った活動をヒントに、オーナメントをお宝に見立てて、みんなで宝探しができないかと考えました。
クリスマスという季節感を感じながら、効果的な集団遊びとして実践することができましたので、内容をお伝えしていきますね!
『宝探し』の療育的効果
子どもたちにとっては、宝を探し当てた時に喜びや感動を感じるものだと思いますが、ASTEPが考える宝探しは、宝を見つけることが目的ではなく、宝を”探す”ことを目的としています。
宝探しゲームの本質は”見つけるまでの過程”に全てが詰まっているものだと考えています。
お宝を見つけられたかを着目する関わり方ではなく、そのプロセスに着目をして、お友達とチームワーク実習のような形で協同連携する中で効果を見出し、遊びとして体験をすることで、『結果と同じくらいプロセスも大事なんだ』という認識を促すことに狙いがあります。
要するにゴールする喜びよりもプロセスに価値があるということを子どもたちに伝えるための活動です。
また、お宝(結果)よりも経験、自分だけの体験に価値を感じてもらいたい、いわば『自分が主人』という感覚を持ってもらいたいという思いもあります。
活動によっては、順位付けやMVPの表彰などを行っていますが、宝探しに関してはたくさんゲットしたという結果については子ども達に言及していません。
なぜかというと、宝探しという遊びを通して”何にときめくか?”という感情や感覚を自分の力で見つけてもらいたいからです。
宝探しとは自分の力で宝を探し出すという、そもそも自分が主役の遊びなんですよね。
探そうと自分で決めないと何も始まらない。結果、行動も自分で選択して進んでいくので「自分が主人公」になれる感覚が満載なのです。
能動的に行動するということがいかに大事なのかを気付かされる遊びです。
取り組みの概要
ASTEPの横にある、通称タコ公園で行いました。
もみの木ごと公園に持って行き、あらかじめ公園に隠しておいたオーナメントを、自分の力(友達との連携も可)で探し出していきます。
個人で探したり、友達と連携して探したりなど、方法は子ども達にお任せルールで行いました。
また「どうしてそこにあると思ったの?」「どうして見つけられたと思う?」というような言葉掛けを行い”探し当てた過程に注目”できる形で進めていきました。
そして、一人で探すことが難しい子どもについては、指導員が一緒に付き、ヒントを与えながら『自分が主人公』の感覚を損なわない工夫をしながら進めていきました。
活動の様子
- 「自分が見つけたものをツリーに飾り、それによってツリーが完成する」というゴールが分かりやすく、子どもたちの、「やりたい!」という意欲に繋がっていた。
隠し場所が難しめに設定したこともあり、表面だけをさらっと見るのではなく、しっかりと「探す」ことができていた。
また、飾りの数を多く設定したため、ほとんどの子どもが複数個見つけることができ、達成感を感じることができた。 - 1つ取ったらツリーに付けるルールで行ったので誰かが取りすぎたりすることもなく、全員が数個取ることができた。高い所のものは背が高い人が取ってあげる等思いやる姿も見られた。
- ゲーム中、木にかかっているクリスマスの飾りを見つけるもなかなか取れず、それを見た指導員が「届かないなら、お友達に取ってって、言ってみる?」と飾りを見つけた子に声を掛けると、近くにいた年上のお友達に声を掛け代わりに取ってもらい、「ありがとう」、「どういたしまして」等のスムーズなやり取りをする様子があった。子供たち同士でのコミュニケーション・みんなで協力して作り上げるという狙いに見合った場面が見れた。
- どうしても勝ち負けにこだわりがあったり、みんなより多く飾りたいという思いもある中、年下のお友達に譲ってあげることができた子に対して、「今のすごいかっこよかったよ!」と伝えると「今のかっこよかった?やった!」と褒められて嬉しそうにする場面があった。褒めること、その場で評価することが大事なんだなと改めて感じた。
- 個別で再度ルールを説明すると、どういうゲームをするのかの見通しが立ったようで最後まで楽しんで参加する様子が見られた。
- みんなが1度は見たことのあるクリスマスの飾りで、何を見つけたらいいのか明確だった。探し場所の難易度も、見つけやすいものから少し難易度高めの難しいものまであり、飽きがなく探せていた。活動の中で達成感を感じれたこともあり、勝ち負けではなく宝探しそのものに集中することができていた。
- 偶然登ったところ(ある子どもの好きな遊具にオーナメントを仕掛ける工夫)にキラキラ光るものを発見できたことを皮切りに、その後、自分で公園中を探す。全体の指示を聞くことは難しかったが、簡単なルール(宝探しの要領)なこともあり集団活動に参加でき、目に見えて分かる形で“できた!”という成功体験を感じることができた。
- 最後の振り返りでは、結果よりも過程に着目した形で、全員の前で一人ひとり発表を行った。その中で「いっぱい取れて楽しかった!」という意見もある一方、「高いところを探すのに、木に登った」や「落ち葉の下を探したらあった」など、探す過程に対する感想を言う子ども。活動の意図を楽しみながら行うことで、自然な思いを語ることができた子どもが多く散見された。
- クリスマスツリーのオーナメント1つ1つに意味やキラキラ飾る事にも意味があるので、その話をする時間を設けて、クリスマスへの新しい知識やイメージを持ってもらえる工夫があっても良かった。
- 見つける機会が少なかった子どもに対し、指導員がオーナメントをポケットに忍ばせて、場面を見て隠す等の成功体験に繋がる工夫も必要
- あまり乗り気じゃない子へのアプローチとして、交換条件やご褒美作戦を行うことも必要
- 1人では参加できない子に対して、今回は大人が付いていた。大人も入りつつ子ども達同士でペアにして一緒に参加する等、大人が入りすぎず、子ども達同士のやり取りを重点的にしていきたい。
さいごに
いかがでしたか?
効果的な結果を求めるためには、その過程に着目し過程を評価することが最も大事な作業であると考えています。
そういった”過程”を客観的に自分で評価できる力も、生きていく上で必要となる能力なのではないでしょうか。
そういった”過程”に着目をした活動をこれからもどんどん立案していきたいと思います!
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