先日をもって新1年生の初登所が終了しました。
元々ご利用されている子どもさんについては、各々で小さなトラブルはあったものの全員が新しいステージで活躍する姿を見せてくれています。
また、新1年生については、登校や登所が上手くいった子、そうでなかった子とがいて、今後の療育活動での関わりの参考とさせていただきたいと思います。
新年度や新学期というのは大人であっても”不安”がつきものです。まだまだ未熟な子どもがその不安のやり場や解消に困っているために問題行動として表れているだけのこと。
4月という季節は、そんな不安な気持ちや心の負担を少しでも緩和できる関わり、子どもの心に寄り添うこと工夫が必要となってきます。
特に新1年生は、その不安やストレスが行動・言動に顕著に表れます。
まずは場所に慣れる環境づくり、他児を巻き込み人に慣れる雰囲気づくりを行いながら、ある程度の自由度をもって活動を組む等の配慮をしています。
親御さんをはじめ、相談支援専門員さん、担任の先生、利用児童さん、私たち指導員が一丸となって、4月特有の時期的特性である『不安』に対処をしてまいりました。
子どもさんの適応力というのは十人十色、もうすっかり慣れて場に溶け込んでいる子もいれば、個別的なケアが必要な子がいらっしゃいますが、滑り出しは好調だったと評価しております。
まだまだ始まったばかりです。焦らずじっくり見極めていきたいと思います。
さて、冒頭でもお伝えしたとおり、新1年生の初登所が終了したこのタイミングで、親御さんに対して『療育(発達支援)』について、もう一度考えてもらうきっかけとなるブログを発信します。
4つの項目をお伝えをしていきたいと思いますので最後までお付き合いください!
大学では社会福祉学部に在籍、福祉心理を専攻し、某アパレルメーカーに就職
脱サラ後、公務員として11年間勤務し、1000人規模の職場で心理カウンセラーとして様々なお悩みを聞き、解決に尽力してきました。
目次
療育とは?
まず『療育(発達支援)』という定義にご紹介します。
- 療育(発達支援)
障害のあるお子さまやその可能性のある子どもさんに対し、個々の発達の状態や障害の特性に応じて、今の困りごと(課題)の解決にあわせ、将来の自立と社会参加を目指し支援をすること。
まさにこの通りで異論はありません。しかしながら、療育の意味の捉え方というのは数ある支援施設で異なってきます。
学習面でのサポートを得意としている施設であれば、学習面での不安を軽減することで、1日のほとんどの時間を過ごす学校生活において円滑に過ごすことができ、結果、将来の自立に向け選択肢の可能性を広げる…という側面で寄与しています。
療育の解釈
先ほど、療育の”意味の捉え方”が異なると申し上げましたが、以下、ASTEPの『療育(発達支援)』の解釈をご説明します。
成長のサポート
療育だけではなく、子育てという大きな枠組みの中でも言えることですが、基本は『できないことをできるようにする』サポートです。
これは『できないことを自分の力でできるようにする』とは違います。
障がい特性や性格的なところで、得手不得手は必ず出てきます。
私自身の話をすると料理が苦手で、ほとんど自炊することがありません。(頑張って作るも恥ずかしながら良い反応をもらったことは少ないです。)
でも私は料理ができないからといって困っていません。なぜなら、料理面は妻が全てサポートをしてくれています。
大人でも得手不得手があり、物事に対する抵抗感というものがありますし、あって当然だと思います。
大事なことは、自分ができないことを人に頼ることができるか?ということです。
人に頼るためには信用力が必要になってきますし、人との関わりをその身で習得していかなければなりません。
信用力という面で必要になってくるのは、その子自身の好きを伸ばし、得意分野を作ることです。得意分野を作ることで、人に頼ってもらえる求心力を培っていきます。
そうすると「これは頼るけど、これは頼ってね!」というギブアンドテイクのような良好な関わりができるようになってきます。
また、解決できない問題に対して「力を貸して」と、素直な心で人にヘルプを出せるか?これはASTEPの療育において非常に重要視している部分です。
特に『観察』という部分が非常に大事です。子どもさんの力量に応じて言葉掛けによる助言、模倣によるサポート等、必要な支援を行っていきます。
ここで1つご理解いただきたいことは、ASTEPは、特性や傾向を持っている子どもさんの発達の”矯正”ではなく、成長の”サポート”をする場所であることです。
親御さん自身、療育に対して矯正やトレーニングと捉えていると、結果を求められる子どもさんにとって辛い場所になってします。
療育の醍醐味は刺激
放課後であれば子どもさんの下校の時間にもよりますが2時間ほど、この限られた時間で成果を生み出すために、より良い刺激を入れることに注力しています。
家という安息の場所ではできないこと、親御さんや兄弟が一緒だとできないこともたくさんあります。
そういった環境の中で、子どもを観察し言葉や行動のアプローチをもって仕掛け、刺激を入れる作業を行う…これが療育の醍醐味だと考えています。
その刺激の強さやタイミング等は、その日の子どもさんによって適切なレベルでなければなりません。
時にはその刺激が強すぎてやる気が削がれたり、弱すぎて見向きもされなかったり…日々試行錯誤の積み重ねです。
このことに付随をして、刺激の強弱について加味しなければならないことは、子どもさんの状態です。
体調はどうなのか?学校で問題がなかったか?食事や排泄があったか?睡眠は十分か?家庭で穏やかに過ごせていたか?時期的な特性(長期休み前後等)…挙げればキリがありません。
親御さんから逐次連絡をいただいている理由はそこにあり、状態をお伝えいただいているのは決して私たちが円滑に支援することができるためだけでなく、状態を判断し適切なレベルで刺激を入れるためであり、そういった過程を経ることで、最終的に子どもさんのご成長に繋がります。
第一支援者は親御さん
京都市の子どもさんは週5~6日で通所ができますが、乙訓圏域の子どもさんだと週3日という上限が定められています。
これは他のデイサービスと大きく異なる点で、乙訓圏域の子どもさんに限られた利用機会を補填するためにASTEPができる工夫は何か?と、考えたところ…
『親御さんに対し支援の内容を正確に伝えること』に至りました。
そのためにASTEPでは、連絡帳ではなく療育日誌という形をとらせてもらっています。
新1年生の親御さんの中には、お送りしたデータを刷りだして綴っていただけるほど、勉強熱心な親御さんもいらっしゃります。
療育日誌には、個別療育や集団療育の活動目的、個々の到達目標、こちらが行った支援の内容、支援に対する子どもさんの反応、反応に対する所見と反省、反省からの今後の展望や方針…緻密に書かせてもらっています。
しかし、ある意味これは当たり前のことだとも感じています。
レストランに行ってメニューからオーダー、店員さんが調理し、料理の味や量に満足する。これで例えると…
- メニューをオーダー=親御さんから療育をしてくださいと依頼
- 店員さんが調理=指導員が子どもさんに対して療育活動を行う。
- 料理の味や量に満足=子どもさんに”楽しい”を持ち帰ってもらう。
これが療育のモデルです。このモデルで抜け落ちている部分は親御さんの存在です。
療育を受けている子どもさんの親である保護者さんに対し、支援の内容や関わりをお伝えして、家庭での関わりの参考にしてもらうこと。これが療育日誌をお送りさせていただいている最大の目的です。。
ご利用いただいている保護者の皆さまにはお伝えをしましたが、ASTEPにいる時間というのはごくわずかで、限られた時間の中でできることには限界があります。あれがしたいこれがしたと思いながら、そうこうしているうちに帰りの時間がやってきます。
そして、子どもさんの一番の理解者は親御さん、寄り添える時間が長いのも親御さん以外ありません。
ですので、ASTEPの支援(関わり)をヒントとして取り入れていってもらいたいと強く願っています。
関わりに迷いのある親御さんは、是非、指導員が療育中に行っている子どもへの関わり方に触れに来てください!
子どもの良い所見つけ
放課後等デイサービスは、療育によって子どもさんの課題を見つけ、特性や傾向を見極めながら発達していくための課題を見出す場であると認識されている親御さんがほとんどだと思います。
これは間違っていませんし、大切なポイントだと言えます。
しかし、療育活動でずっと課題に向き合っているとさすがに疲れますよね。支援者である我々も疲れてしまうかもしれません。
課題に向き合うこと、これ自体は良い姿勢であることは間違いありません。
ただこれを単純に課題に向き合わせていると疲れます。工夫が必要なのです。
ASTEPでは”課題見つけ”よりも優先的に”良い所見つけ”をして、場面に応じて子どもさんに伝えています。
「あなたにはこんな良いところがあるんだよ!」という言葉掛けだけで自分と向き合うことができます。
前向きな言葉掛けを多用するだけで子どもさんはその場で笑顔になれますし、積み重ねにより自信に繋げる事さえできます。課題でさえ良い部分に考え方を転換することだってできます。
ASTEPでは、どんな子どもさんでも持っている良い部分(長所)でもって、課題(短所)をカバーするイメージができるような形で関わりをもっています。
また、良い所を言われた子どもは「自分のことを見てくれている」そこから「この人となら一緒にやってもいいかな?」と思えるようになってきた子も多くいらっしゃいます。
それらの経験が成功体験に繋がり、成功体験を積み重ねることにより自己肯定感を育て、子どもさんの成長に繋がるものだと考えています。
子どもさんの良いところを見つけるためには、子どものことを知り、環境を変え、不安を取り除き、せめて子どもの前では笑顔でいること。
そして、子どもさんを変えようとせず、その子の個性を尊重し、”普通”と言う固定概念を取り払うこと、そして、たくさんの優しさと心地よさ…です。
療育は、受けさせるものではなく、トレーニングするものでもなく、ただ、良いところを引き出すこと、それに尽きます。
さいごに
まだまだ語り切れないことが多くありますが、このあたりで〆にして、お話の続きは送迎時の軒先でお話をさせていただこうと思います。
お伝えした内容に共通して言えることは”親御さんの協力なくして療育は成立しない”ということです。
逆を言えば”ASTEPの協力なくして子育てが成立しない”と感じてもらえるよう、今後も継続してサービスの質を追求していきます。
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