大学(保育過程)卒業後、保育園で2年間勤務、前職の園で特性を持つ子どもさんと触れ合う中で自分の道を模索する。
『障がい』への理解を深めるため、ASTEPでの勤務開始、子どもさんのピュアで素直な面を心で感じながら、日々勉強中の毎日です!
こんにちは!こんばんは!
新1年生も加入し、新たな指導員を迎え入れたASTEPで『フラッシュカード』を行いました。
今ではASTEPの定番の取り組みとなったフラッシュカードですが、取り組みを行うまでの道のりは険しいものでした。
私が幼稚園教諭をしていた頃、園児に対して何度も行ったことのあるフラッシュカードですが、その目的や効果という部分については、正直なところ考えたことはなく”楽しければいい”という気持ちで行っていました。
ASTEPに来てから(昨年)私から、フラッシュカードがしたい!と上司に提案をすると「必要性は?目的は?その影響は?」と質問攻めを受け、初めてフラッシュカードという取り組みと向き合いました。
その後、レッスンプラン(LP)を作成し、確認をしてもらうも「子どもたち(全員)の目標は?段階区分(グループ分け)は?」と跳ね返されながら修正を重ねていきました。
今回のブログでは、フラッシュカードの目的等をご紹介し、新1年生を迎え入れた時の活動を評価していきますので、最後までお付き合いください!
目次
活動立案の背景
利用児童において障がいの特性上、着席をして活動に取り組む事が難しい子どもさん、集中力が著しく乏しい子どもさんがいらっしゃいます。
一方、視覚優位・記憶力が優れている面もある為、集中力や1つの事に取り組む習慣を身につけながら言葉の発達(語彙の獲得)を促すとともに、情報処理を行うことで『できた!』という自信に繋げるため、本活動を立案しました。
活動の概要
絵による果物や野菜、行動の様子など(興味付けが難しい場合は、児童が好きなアニメのキャラクター等)が書かれているカードを一瞬(1秒)見せ、何が出てきたか?何番目に出てきたか?何と何があったか?何個あったか?を視覚的に判断し言葉により発言、若しくは絵カードで選択させて答えを求める。
活動の狙い
活動の狙いは大きく3点ありますのでご紹介します。
語彙の獲得
語彙の獲得を促す上で、ASTEPが工夫している点は、『事実をシンプルに伝える』ことです。
フラッシュカードの絵には理屈はありません。シンプルにその物を表示していることから”理屈や論理ではなく事実のみ”を伝えます。
例えば「桃はピンクでおしりみたいな形をしていて甘くておいしい」という情報を言葉で説明するよりも、桃をそのまま見せてシンプルに「これが桃」と伝える方が子どもには伝わりやすいのです。
桃がどうやって成長をして、どんな感触をしていて、どんな匂いがするのか?という経験も非常に大事だと思います。
しかし、それはカードを見たからといって知り得ないものになるわけではなく、むしろ『桃』を知っているからこそ、知識として豊かになると言えます。
言葉は無数にあって『シンプルに伝える』という工夫は、言葉の発達(語彙の獲得)において重要になってきます。
情報整理と処理
特性のある子どもさんは、まだまだ思考力が発達段階にあり、論理的に物事を捉えて理解することは難しいところがあります。
しかし、事実をある程度の速さで整理(インプット)し、処理することは非常に得意だったりします。
そして、インプットされた事実は、様々な経験や深い思考へとつながり蓄積されていきます。
ASTEPのフラッシュカードは、事実を記憶するために行っているのではなく、発達段階に適したスピードでインプットすることで、情報が蓄積され、日常の生活や豊かな経験の中で、言葉として表出されることを期待しています。
大量の情報を頭に流し込まれた子どもにとって、苦に感じたり、集中が続かないことで気力を失くしたりしないよう、1クール5分程度に区切りながら要所で休憩を挟み、友達や指導員との関わりの時間を設けながら、気持ちを乗せる工夫を行っています。
しかしながら、たった5分の集中した時間の中には多くの言葉(事実)があります。
記憶することよりも、事実を事実として捉えることのできる力を伸ばしていけるよう活動を進めています。
好奇心をかき立てる
最初の導入部分(活動の冒頭)では、フラッシュカードだけではなく、どんな活動においても好奇心をかき立てる工夫を入れるよう心掛けています。
冒頭の掴みを成功させ、子どもが「おもしろそう!」「やってみよう!」と感じてもらえるよう、こだわりを持って掴みを行っています。
自ら学ぼうとする姿勢になるということは、好奇心を刺激されている状態と言えますし、頭だけでなく体全体が好奇心でいっぱいの状態となります。
そして、それは発達に課題を抱えた子どもであっても同様です。
療育という視点に立ったときにも、この”好奇心”については、どんな活動においても非常に重要なポイントとして捉えています。
活動の様子
活動の評価
- 普段は5~10分程しか着席できない子どもが、掴みの部分が成功し、30分ほど着席をした状態で集中力を保つことができた。
- 「見てなかった~」や「もう1回お願い!」などの自己主張する場面があった。その後の言葉掛けにより、どれだけ自分が集中できたか?などの事故認識を促すことができた。同時に指導員も把握することができた。
- 声の大きさカードを用いて、声のボリューム(はい!と挙手する際の声)を意識させることを行った。冒頭の説明で、姿勢を正すことの意味を理解できる言葉でインプットすることで、姿勢良く活動に向き合うことができた。
- 正解を言いたいから、「もっとやろう!」と、ほとんどの子どもたちからの要求があった。子ども主体の活動ができた。
- 低学年グループでの活動では、フルーツは良くしっているが、野菜(ブロッコリーなど)は、知っているが言葉に出来ない場面があり、丁寧に名称を教えるとオウム返しのように言葉を発してくれた。
- 活発な子どもに圧倒されて、自分がなかなか答えることができない場面では、子どもの状態を観察し、必要に応じて発言を促す働きかけを行ったことで、活動に参加することができた。
- 果物や野菜だけでなく、生活の身近な物(鉛筆や黒板消し、ホッチキスなど)ぱっと見で言葉にしにくいような単語を取り入れることで、少なからず語彙の獲得に貢献できた。
- 挙手がかぶった際、『自分が答えたい!』という強い思いを抑え、友達に発言を譲る場面があった。その行動に対して「たくさん答えてたから譲ってあげたんだね!」と事実を代弁し、認める言葉掛けを行うと、笑顔の表情をされていた。『褒めるより認める』言葉掛けの実践が、勤務の浅い指導員が意識して行うことができた。
さいごに
いかがでしたか?
今回のフラッシュカードで、子どもたちの集中力の度合い、語彙の広さ、活動への意欲・関心など、様々な点を評価するすることができました。
また、ASTEPでの勤務経験の浅い指導員についても、活動のポイントを抑えて、自信を持って活動を進めることができました。
ASTEPでは、こういった室内ゲーム以外にも、それぞれの活動で必ず狙いを持って活動を行い、狙いに対する目標を設定した結果を評価しています。
日々の観察を欠かすことなく、子どもたちと楽しい!を大前提とした活動(遊び)を通して、ポジティブな支援を行っていきたいと思います!
お問い合わせはこちら