いきなりですが、人と関わる上での最大のコミュニケーションツールは何だと思いますか?そうです…『言葉』です!
私たち障がいのある子どもさんと関わる支援者というのは、障がいに対する知識や理解があるだけでは不十分であると考えています。
専門的な知識や子どもさんの特性や性質の理解と同じくらい、それ以上に大事なことは『言葉を正しく扱えるか』ということです。
言葉を正しく扱えるか?という部分については、その人の資質的なところも左右されます。例えば、感情をコントロールすることができるか?人は誰しも怒る場面、悲しい場面に遭遇します。
子どもさんと関わる中で、ただ単に自身の感情をぶつけるのではなく、真に寄り添った言葉掛けを行うことができるか?というのは、その支援者の資質に関わる部分です。
ちなみに、採用面談の場においては、面談者の資質を問う質問や、場合によっては実際に子どもとの関わりを見せてもらうなどなどを経て、今のASTEPの指導員は在籍をしています。
話は逸れましたが、言葉には想像以上の重みがあります。威力のある言葉は時として暴力等、人権を無視した行為以上の影響を受けることもあります。
そして、支援者たる私たち療育施設の指導員は、子どもと遊ぶこと、子どもに満足して帰ってもらうこと、保護者に様子をお伝えすることだけが仕事ではなく、『どのような言葉を使って関わり、可能性を広げていくか?』その関わりの質が問われます。
様々な特色を掲げている事業所がある中で、そういった意味で言うとASTEPは『言葉掛け』に特化をしている事業所と言えます。(まだまだ勉強中ですが…)
今回のブログでは、ASTEPの『言葉掛け』への想い、そして、言葉の重みについてお話していきたいと思います。
立命館大学・政策科学部卒 卒業後、アパレル企業に就職
父が特別支援学校の校長であったこともあり、児童福祉の道へ進むことを決意
二児の母でありながら、2021年にASTEPを立ち上げ、仕事と子育ての両立を目指し、日々奮闘しています!
目次
やってほしい言葉掛けの2つの基本
ASTEPの親御さんからの、関わりにおけるご相談、特に言葉でのコミュニケーションにおけるご相談を受けたときに、必ずお伝えしていることがあります。
「こんな言葉を掛けてあげてください!」「こういう言い方が理想ですね!」などの助言を日々発信させてもらっているわけですが、その中で特に「これだけはしてもらいたいな~」と思うことは『否定語を肯定語に変換する』ことです。
完璧にはできなくても癖付ける意識だけでもしてもらいたいため、積極的に親御さんへ発信しているところです。
また「この子に言っても分からないから…」このような思いから、物事の真意や道理を話すことを避けたり、会話の中で曖昧な表現をされている親御さんに対しては『具体的に話す』ということの癖付けをお勧めしています。
この2つは、今後、子どもさんと話をしていく中で絶対的に必要となることですが、子育てだけではなく普段の実生活の場において、否定語をたくさん使うことに慣れていることもあり、否定語を使うことが当たり前のような状態になっている感覚を持っています。
それは実は異常な状態なのです。
やめてほしい言葉とその理由
普段、あなたの子どもさんにこんな言葉を掛けていませんか?
- だめだよ!
- いいかげんにして!
- 何やってるの!
- 危ないでしょう!
- 何回言わせるの!
- ちゃんとして!
- やめなさい!
子を持つ親御さんで、この中の言葉を使ったことがない方はおそらくいないのではないでしょうか?
余談ですが、ASTEPの活動で行った遊具のある大きな公園で、見事にこの中の言葉のほとんどを使ってまくしたてていたお母さんがいました。子どもはもうお地蔵さんのような状態で、聞くに堪えない様子だったので声を掛けさせてもらい「この子たち(ASTEP)と一緒に遊ぼう!」と誘って、話を遮ったことを今でもよく覚えています。
これらの言葉は子育てでよく使われる通常な言葉(本当は異常)ですが、これらの言葉にはやはり否定語が多く、曖昧な表現でもあるため、特に、障がいのある子どもさんに対してはまったくもって通じません。
通用しない言葉を掛け続けるのも気持ちや体力が消耗するだけで、それ以上に子どもさんに与える影響は計り知れないものがあります。
ですので、否定語を肯定語に変える努力をされる方が、お互いにとってWinWinなわけです。
- 否定語から肯定語に変換する。
- 具体的な言葉で話す。
この2つに今のうちから慣れていくことが大事です。
理想の言葉掛けの実例とその方法
例えば、街中でよく見かける言葉で「静かにしなさい!」という言葉も、否定語が含まれ、曖昧なニュアンスが感じられませんか?
子どもからすれば、行動を否定をされた上に「静かってどれくらいがなの?」と、頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになっているはずです。
正解があるわけでもないのですが、例えば「お母さんを見て?静かにできていてかっこいいでしょ!」と言葉を掛けたり、『静か』という曖昧な意味合いを、声の大きさで伝えてあげたり、障がいの特性によっては『声の大きさレベル表』のようなものを用意して、視覚的に教えてあげれると良いかもしれませんね!(ASTEPではいつでも説明できるよう常に療育室に置いています。)
静かというレベルは大人なら分かりますよね?でも子どもには、特に発達に特性のある子どもさんには分からないのです。
自分は分かるけど子どもには分からない、かける言葉が『分かって当たり前』と思わないことです。
それでも最初は、慣れている言葉(否定語)が無意識に出てしまうことでしょう。
そんな時は、言ったあとに「あれ?」と考えてみて「これはどう言い換えようかな?」と考えてみることから始めましょう。
先ほど、街中でよく見かける言葉を例に挙げましたが、そんな場面に出くわすことって多いですよね?そんな場面を見たときに『自分だったらどう言うかな?』と考えてみるのも良い練習になるかもしれませんね。
抑揚や言葉尻を変えたり、伝える表情を変えるだけで、言葉の威力(悪→善)が変わります。
この言葉の重みを知り、実際に関われるかどうかで、後々の子どもさんの育てやすさにも繋がり、良い影響を受けた子どもさんは成長に必ず変化が出てくるはずです。
さいごに
私たちも子どもの頃、親に怒られた経験はありますが、怒られて嬉しいと思う子どもはほとんどいないと思います。
それと同じことをしない方法をこの記事で紹介していきましたが、言葉は同じ意味を言うにしても変えることができます。
あなたの子どもさんが将来困らないように、言葉での関わりは工夫することができます。
言葉は、どんな親御さんでも子どもに贈ることができるプレゼントです!
親として意識できることはとことん意識して、言葉を選んでいきましょう!
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