近年『発達障害』という言葉が認知されてくるようになりました。
自閉症やADHD、アスペルガー症候群など、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
それら発達障害のある子どもは、未経験の事に対して前向きな気持ちで挑戦することが難しいという特徴があります。
経験のない遊びや活動などの場では、ことごとく参加を拒み輪から外れたり、その場で動けなくなったり話をすることもできなくなったり、場合によっては不安を感じてパニックになる事もあります。
それは、発達障害の子どもが新しいことや初めての事への挑戦が難しいのには、先に起こることへの予測が出来なかったり、見通しがつかないためだと言われています。
そのため、新しいことに向き合った時に「何をするんだろう?どうなっちゃうんだろう?どうすればいいんだろう?」などの気持ちから、動揺が先走り新しいことへ挑戦することを億劫に感じることがあります。
生活の場面や学校、デイサービスで過ごす中で、様々なことに参加することや新しいことへ挑戦する場面も多くあると思います。
新しいことにチャレンジすることが難しい子どもには、どのような関わり方や方法があるのかを紹介します。
目次
見通しを持たせてあげる
挑戦できない多くの原因として挙げられるのが『見通しを持てない』ことです。
発達障害の子どもは、新しい事や初めての事への挑戦は、見通しを持つことができず、不安を感じてストレスになることが多いです。
今後行う場面を想定して「何をするのか?」「どの順番や手順は?」「終わりやゴールはどこなのか?」などを子どもさんの学齢や特性に応じて、少しでも理解できるよう説明することで、見通しをつけて不安を取り除くことが必要となってきます。
お手本を見せてあげる
見通しをつける手段として言葉による説明を行うことを紹介しましたが、支援者が目の前でお手本を見せることも有効な手段です。
言葉だけで見通しをつけようとしても、実際に今から行うことが頭でイメージすることができないと不安を感じます。
そのために支援者が実際にお手本を見せたり、何かを作る作業では完成品を見せ、明確にゴールを示してあげるなど、具体性をもって示し子どもがイメージできる働きかけを行うことが必要になります。
それでも難しい場合は、支援者と共に行ったり、子どもと連携をして部分的に助けるところから始めていきましょう。
一部分だけ行う
お手本を見せてあげる項目で、支援者と共に行うことも必要だと紹介しましたが、「できること・できないこと」を、子どもとコミュニケーションの中で明らかにし、できることを実践してもらうことも必要な支援の方法です。
できない部分は支援者が助けながら、目的の活動に参加すること(チャレンジ)を促していきます。
活動の中で小さな成功体験を積み重ねていくうちに、子どもから「これもやってみよう!」という言葉や姿勢が期待できます。
また、最初から活動に参加できない場合は、最初は横で見学をして子ども自身で見通しをつけてもらうことも有効な手段です。
子どもの様子を観察して、ある程度見通しを持つことができれば「〇〇くんはどれをする?」「〇〇君はAかBどっちがいい?」などと参加を促してみるとアクションを起こすための動機付けをしてあげてください。
工程を分ける
先ほどの『一部分だけ行う』ことに付随をして、工程を何段階かに分けてあげることも工夫の1つです。
いわゆる『スモールステップ』と言われる手段で、障害者支援の現場では広く用いられています。
いきなり全てのを行うのではなく、細かい工程(1~10くらい)に分けて、1つずつ課題をクリアし、スモールステップで挑戦してみましょう。
そうすることで、気持ち的なハードルも低くなり、工程を分けた分だけ成功体験を増やすことにも繋がります。結果、やる気や自信にも繋がっていき、意識・意欲アップの向上が期待できます。
取り組む際は、子どもの目線(発達や能力)に合わせて、クリアできる適切なレベルの課題を用意するようにしてください。
ご褒美制を取り入れる
新しいことにチャレンジできた時には、ご褒美を用意する方法もあります。
ご褒美が欲しいがために取り繕ったり、目的意識がご褒美にいってしまうなど賛否両論ありますが、子どもさんに対しご褒美をあげると同時にチャレンジできたことを認める言葉掛けを行うことがポイントです。
その際、「チャレンジできてえらいね!かしこいね!」と、行動を褒めるのではなく「〇〇くん、できたね!」とシンプルに伝えてあげること、行動よりも本人を認めてあげる言葉掛けを行うことができれば、自己肯定感を持てるきっかけにもなります。
ご褒美にはおもちゃやおやつなどの物、好きな場所に遊びに行ったりできるなど、子ども自身がそのご褒美を目標と出来るものにするといいでしょう。
ご褒美制の中にもスモールステップを取り入れ、ご褒美シールやポイントカードにして、全てたまったら好きなことが出来るなどを取る方法もあります。
子どもの性格や気質を踏まえて導入を検討してみても良いかもしれませんね。
まとめ
これら5つの方法を紹介しましたが共通して言えることは…
- 成功体験で終わる!
- 失敗したときにフォローする!
新しいことにチャレンジして成功したという体験から、達成感の気持ちが生まれ、次のチャレンジへの意欲に繋がります。
仮に失敗してしまったとしても「これしか出来なかった」ではなく「ここまで出来た」と、成功体験となれる言葉を掛けて終われるようにしましょう。
新しいことへチャレンジする時の大きな障壁は、失敗した際の恐怖や不安が大きいもの。
失敗を恐れている様子であれば「失敗しても全然OK」と失敗はダメなことではないというスタンスを伝え、失敗した時には「またチャレンジできる」ことを伝えるとともに「失敗した際の対処方法」を簡潔に教え安心感を与えてください。
発達障害の子どもが、新しいことにチャレンジすることが苦手な理由には、見通しが持てない、恐怖、不安など、それぞれの理由があります。
どんな理由でチャレンジできないのかを明らかにすることが重要です。
何に対して不安や恐怖を抱えているのか、どの部分につまずいているのかをよく見極めて、適切な支援を入れていきましょう。
お問い合わせはこちら