我が子が「アスペルガー症候群なのでは?」「アスペルガー症候群の兆候がある」などの指摘をされ、心配や悩みを抱える保護者さんもがいるかと思います。
アスペルガー症候群は、知的な遅れや言語の遅れがないため、専門医ではない方が判断するのは難しいです。
しかし、早めに気づいて適切な対応を取ることで、子どもが抱えるストレスを減らしてあげることが可能です。
この記事では、アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴やよくある行動、周囲の関わり方にフォーカスして紹介していきます。
目次
アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群は、発達障害の中でも「広汎性発達障害」に分類されます。
知的な遅れや言語の遅れがないため、気づかないまま大人になる人がたくさんおられます。
原因については、生まれつきの脳機能障害が原因で起こるものと考えられています。
後天的な要因によって発症するわけではないため、親のしつけや育った環境などは関係はありません。
「育て方に問題があったのではないか」などと誤解されることも多いと思いますが、そのようなことは決してありません。
アスペルガー症候群の子どもの特徴
特徴は大きく区分して以下の3つです。
- 対人関係の障害
- コミュニケーションの障害
- パターン化した興味や行動
特徴の表れ方には個人差がありますが、最近は、幼児期から注意深く見守ることでその兆候に気づくパターンも増えてきています。
対人関係の問題
集団生活の中で場に合わない発言をしてしまうことがあります。
その結果、自己中心的だと誤解されてしまうことがあります。
人を傷つけてしまい、対人トラブルが起こる恐れもあります。
コミュニケーションの問題
相手の表情や行動の変化などが読み取れず、勘違いしたり傷ついたりしてしまいます。
また、思ったとおりに発言してしまうことが多く、相手から反感をかってしまうことがあります。
パターン化した興味や行動
「自分で決めたルールを忠実に守る」「興味のあることに関して夢中で話す」などの様子が見られます。
また、興味のある物事に関しては非常に高い集中力と記憶力を発揮します。
その他の特徴
その他に、具体的な特徴として以下のようなものが見られることがあります。
- スケジュール管理が苦手
- 文字や記号などを覚えるのが得意
- 想像力が乏しい
- 目が合わない
- 場の空気が読めない
- 突出した才能を持つ場合がある
- 言葉が棒読みになりがち
アスペルガー症候群の子どもの行動
生活場面別にまとめましたのでご紹介します。
学校でよくある行動
場にそぐわない発言をすることも多く、周囲から浮いてしまいがちです。
興味があるものに対して1人で没頭してしまうため、集団で遊ぶことを苦手とします。
また、基本的に人の気持ちを理解するのが苦手で、悪気なく相手を傷つけてしまうことがあります。
時間割の変更や休み時間の短縮など、いつもと違う出来事があると対応することが難しく、混乱してしまいます。
家庭でよくある行動
家庭では、興味のある物事に関して家族にひたすら話し続ける様子がよく見られます。
また、他人との関わりを持つことが困難なため、公園などに行っても他の友達と一緒に遊ぶことは少ないです。
日常生活における特徴
アスペルガー症候群の子どもによく見られる日常生活の特徴には以下のようなものがあります。
- 親にも目を合わせられない
- 同世代の子どもより大人と会話することを好む
- 同時に2つ以上のことをするのが苦手
- 抱っこされることを嫌がる
- 年齢のわりに大人びた言い方をする
- 好きな分野に関する記憶力や集中力に長けている
アスペルガー症候群の子どもへの関わり方
ここでは、家庭や学校において、アスペルガー症候群の子どもとどのように接すれば良いかについて説明します。
スケジュールをパターン化し、ルールは視覚的に示す
アスペルガー症候群の人は、社会的常識が分かりにくいという弱みがあるものの、ルールや規則は守るべきものだという意識が高いことが多いです。
そのため、その日やるべきことを目で見て分かる形(紙に書く、電話よりもメールで伝えるなど)にすることが効果的です。
また、ルールを伝えるときは、理由も一緒に添えると理解してもらいやすくなります。
なるべく変化することを避ける
アスペルガー症候群の人は、様々な変化に対応することが苦手です。
クラス替えや選択授業など、周囲から見れば良い変化と思えるようなことも、本人にとっては大きな負担となります。
そのため、愚痴や弱音を言い出しやすい環境を作る(積極的に気遣う声かけ)ことが大切です。
また、むやみに変化をしないという配慮も必要となります。
その方が、アスペルガー症候群の人は問題なく一つのことに高い能力を発揮し続けることが多いからです。
広く浅くよりも狭く深く、を尊重する
アスペルガー症候群の人に対して、2つ以上のことを同時進行することを求めたりすると、強いストレスとなって身体症状が現れることがあります。
したがって、一つの作業に集中できる環境を作ることを心がけてください。
特に、単調な作業をとても正確に淡々と続けることができるという強みを持っているため、その特性を活かした作業を任せるようにするといいでしょう。
さいごに
アスペルガー症候群の子どもに見られる特徴や適切な関わり方などをまとめました。
アスペルガー症候群は簡単に判断することははっきり言って難しいです。
今回ご紹介したアスペルガー症候群の症状が全ての人にあてはまるというわけではありません。
一概にアスペルガー症候群といっても、その症状の有無や度合いは様々で、こうだというものはありません。
しかし、周囲がその特性を理解することで、本人のストレスを大幅に減らすことができます。
ぜひこの記事を参考にして、アスペルガー症候群への理解を深めていただければ幸いです。