ASTEPブログをご覧の皆さま、こんにちは!
毎日暑い日が続いていますが、夏休みも後半戦に突入しましたね!ASTEPの子どもたちもすっかり夏休みの生活リズムに慣れてきたような印象を受けています。
さて、今回は夏休みの療育をピックアップしてフィードバックを行っていきたいと思います。今回フィードバックする活動は「夏祭り」です!
7月から地道に準備を重ね、夏祭りのために1つ1つのブースの製作を行い準備してきた結果、子どもたちの自身の頑張りで大成功を収め、想像以上の収穫がありました。
目次
夏祭り開催の意義
そもそも「お祭り」はなぜ存在しているのか?ということを分かりやすく子どもたちに説明をしました。子どもたちには少し難しい内容にはなりましたが、それぞれにお祭りのイメージは持てたのではないかと評価しています。
昔の日本人は、夏には疫病や台風などで亡くなる人が今よりもたくさんいました。
夏のお祭りの醍醐味である花火は、ヨーロッパの祝砲を上げる文化を起源に、花火になったと言われていて、死者を弔う意味があったのです。
お神輿などの催しは、明るく楽しく盛り上がることで、暗い雰囲気を払いのけるという考え方があります。
町のお祭りとASTEPの夏祭りの決定的な違いは、「自分たちが主催者」であることです。漠然とした完成形を子どもたちに思い描いてもらいながら、夏祭り当日までの日常の学び・感情の充実を目指します。
町のお祭りは、現地に行き、その雰囲気や露店の食べ物やアトラクションを楽しむものですが、自分たちでブースで必要なものや景品を準備しないと夏祭りを楽しむことが出来ません。
今回の夏祭りの意義を、子どもたち自身に見出してもらうため、あえて抽象的な目標「夏祭りの完成を目指して取り組む」を設定し、7月5日から子どもたちに取り組んでいただきました。
夏祭り準備の評価
7月5日から夏祭り準備、主として製作を開始して計5日をもって夏祭りの完成を目指しました。
それぞれの日で活動や製作物は異なりますが、一貫して「コミュニケーションの充実」をねらいとして取り組んできました。
それぞれのお子さまのコミュニケーション能力を5段階でグループ分けを行い、グループごとに目標を設定し、「達成→効果の定着を図り、次の目標設定」、「未達成→アプローチを変え再チャレンジ」を繰り返し行ってきました。
ある程度、製作ができる子やコミュ力が長けた子には、抽象的かつ限定的なヒントだけを与え、そこから生まれる疑問を解決するため、質疑応答を繰り返し行う環境を作り出し言葉でのやり取りを意識して取り組みました。
また、指導員によるマンツーマンでの対応が必要な子に対しては、意思の疎通(Yes/No)、やりたいこと(What)、誰と(Who)など、会話で必要な5W1Hのやり取りを主として、コミュニケーションの向上を図りました。
以下、準備編の評価です。
- 製作開始時は気分が乗らず個別療育を実施していたが、製作で使用するビー玉を見せコロコロして見せると興味を示し、自ら少しずつ皆の元へと距離を詰めていき、自然と製作に参加することができた。〖K・Sさん〗
- 宿題に手こずり遅れて製作を開始したが、それを感じさせないやる気と集中力に溢れていた。慎重な性格であるが、大胆に転写を楽しみながら作品を完成させた。〖H・Tさん〗
- 毎日の宿題で氏名を丁寧に書く様子があったため、看板の文字入れ係に指名。アステップ/なつまつり/ヨーヨーつりの3種類を丁寧かつ活き活きとしたタッチで描いてくれた。〖A・Tさん〗
- 製作前にボール遊びを行っていたが「今から製作するよ!」と言うと気持ちの切り替えを自ら行い、進んで片付けを行う意欲を見せる。〖K・Tさん〗
- 、iPadで画像を見ながら、画用紙に転写を行う。「これで合ってるのかな」と不安な様子であるが、分からない箇所がある度に指導員に声を掛けている。こちらが補助することなく時間内に作品が完成。分からないことをそのままにしないと普段から定着させてきたが、その素地が身に付いてきた。〖F・Aさん〗
- 魚の折り方を調べ折り紙を実施。角と角を綺麗に合わせて折るなどの緻密性に欠けていたが、「丁寧」の意味を説明し模範を示すと、時間をかけ丁寧に折る様子が見えた。〖H・Aさん〗
- 製作における自分の役割を終えたあと、その場を離れ1人違うことをしていた。自分が終わっても終わりではないこと、全員で製作をしていることを説明すると、理解をしようとする姿が見られ、その後、製作現場に復帰し、他児を手伝うことができた。〖Y・Kさん〗
- 部分的な参加で短時間(計5分程度)、新聞をくるくる回してダーツを作りに興味を示す。その後、本人の思いに任せ、色々な想像力をもって新聞紙で遊び展開する。遊びへの想像力に長けている。 〖O・Rさん〗
- 夏祭りの景品の買い出しにおいて、外での約束を口頭で確認、本人は自発的に「走らない」「大きな声を出さない」等をお友達に向けて繰り返し確認し合う。情報をアウトプットする事により、自身の頭にインプットさせていた。自分の好きな景品を持ってくるも「皆が楽しめるもの」とヒントをを与えると「これはどう?」「これなら男の子でも女の子でも使えるかな?」と、自分の事だけでなく皆の事を考えて様々なアイディアを出せた。〖K・Hさん〗
- 、プリントに下書きを行い、他児と言葉を積極的に交わし、協力をしながら段ボールに模写を行う。カッターナイフを使用した経験がなく「歯は短く、ナイフは短く持ち、奥から手前にゆっくり引く」などのコツを教えると丁寧かつ安全に作業を行う。製作だけではなく、応用力を身につけるため、どうすれば物事を効率的に行えるのか?を焦点に今後の活動を行う。〖W・Sさん〗
夏祭り当日の評価
7月の初旬から地道にコツコツ準備を進めてきた集大成の「ASTEP夏祭り」がやってきました。
みんなの頑張りを決して無駄にしないよう、安全管理をはじめ、様々な演出や行程を考えて夏の思い出を残せるよう、指導員側も熱意を持って臨みました。
当日の目標は1つ「夏を楽しむ!」です。コロナ禍であり、祭りすら開催されない現状もあって、子どもたちのワクワクも最高潮でした。
以下、夏祭り本番の評価です。
- 本人にとっては難しいゲームでも、周りにいる友だちや指導員と「やったー!」「おめでとう!!」と喜び合う雰囲気を感じて、全てのブース(4箇所)を周り、アトラクションを楽しめた。回り切るまで時間はかかったものの、Y君を全員で応援する場面もあり、注目される中ゲームをやり切ることができた。〖K・Yさん〗
- 集団で参加することはできなかったが、指導員と一緒にブースを周り、ヨーヨーすくいに興味を示す。補助をしたものの自身の手でヨーヨーをゲットできたことに喜びを感じた様子で、帰りまでヨーヨーを手に持ち離さなかった。やってみようという初動のアクションが取れたことが評価できる。〖T・Tさん〗
- 焦ってゲームを進める場面では、指導員の声掛け1つで自身で気付くことができた。その後はペースを取り戻しゲームを楽しむことができた。結果、高得点で目当ての景品をゲットできたときは満面の笑みで喜びを感じていた。〖Y・Sさん〗
- 初めて会う友達とも違和感なく関わり合うことができた。自己紹介し合ったり、好きなものを聞き合ったりする様子が見られ、相手に興味を持つことが自然とできている。異性年齢関係なく「人に興味を持つ」ことを要約して伝えると、その後はブースを一緒に回り、1日を通して一緒に行動していた。〖H・Aさん、W・Sさん〗
- 大好きなバランスボールに乗って跳ながら移動しながらも、各ブースを回りゲームに参加できている。わなげでは、輪が入る度に「入った!」と結果を言葉に表出することができている。〖H・Sさん〗
- 細かな動きが必要とされるピンポンカップインや輪投げでは、勢い任せに投げるのでは無く、自分からの距離感や位置を確認して、力加減に気を付けながらじっくり狙って取り組んでいる。〖Y・Kさん〗
- いつもは順番を守れないことが多かったが、この日は、子どもたちが集まるブースにおいてしっかり順番を守ることができている。大げさなくらい褒め、少し照れた様子。引き続き順番を守る事を場面を捉えて伝えていく。〖K・Tさん〗
- >説明の時から人一倍、目がキラキラと輝かせる。景品はお姉ちゃんと一緒に楽しめるものを選び、先の事を見越した選択ができている。14人中6位の好成績を知ったときには全身で喜びを表現してジャンプし、取り組みへの熱意が感じられた。準備や後片付け全てにおいて率先して動くことができている。出店のおやつ(たこせんやフランクフルト)の中で食べれないものがあり、残念な思いをさせてしまったため、来年は皆が同じものを食べれるよう反省を踏まえ来年に検討・反映する。〖K・Hさん〗
さいごに
ASTEPを開所をして初めての夏祭りになりましたが、コツコツと地道に取り組んできた子どもたち、また、アイデアを出しながらLP(レッスンプラン)を立案し、子どもたちを善導してくれた指導員に対して、この場を借りて感謝します。
準備から本番まで様々な目的や意義を持って取り組んできた成果が、今は目には見えなくとも、近い将来、かけがえのないものとなって生かされてきます。
そういった長期的な目で成長を見込み、日々経験を積み重ねながら、引き続き療育活動を行っていきます。
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