大学では社会福祉学部に在籍し、福祉心理を専攻
前職は公務員として11年間1000人規模の職場で心理カウンセラーとしても勤務し「傾聴力」を磨いてきました。
キャリアの形成において大切なこと…なんだかわかりますか?
今回はASTEPのキャリア療育において重要となる項目の「自己分析」について、ご紹介させていただきます。
個性をもつ子どもたちへの支援の枠組みは、大きく3つあります。
学校(支援学校)では、この3つの項目を柱として実践をされていますが、ASTEPでは内面と生活面において成長を見込む取り組みを立案しています。
※学習面においては、学習支援という形で、教員免許を保有している指導員が個別に支援を行っています。
今回「自己分析」を行った子どもは、受験を控えています。
実践した内容を紹介していきますね!
目次
自己分析とは?
自分を客観的な視点で見つめ、自分の嗜好性(好き・嫌い)、自分の強み、弱み、向き・不向きなど、自分を作り上げている要素を明らかにすること。
ASTEPでの自己分析は、自分がどういう人間で、どういう特性があり、何をどのくらいできるのか整理するために、可能な限り自身で説明ができるよう、自分を深く探る大事な作業として位置付けています。
自己分析の必要性
今回でいうと、面接や支援学校のオープンキャンパス(主に態度面を見られる)
もしも「自己分析をしていない状態」を想定して考えてみると…
- 応答・態度が不明確になる
- 自己アピールできない
- 学校を志望する理由が答えられない
逆に学校側からの視点で考えてみると…
- 自分の障がいへの理解が浅いのか
- 何が得意で不得意かわからないのに授業についていけるのか
- 学校の方針とマッチするのか
となり、端的に言えば、不明確な人は評価されない(評価したくない)ということになります。
- 親が言うから志望した
- なんとなく得意です、なんとなく不得意です
- たぶんこの学校でやっていける
という不明確さがあると、評価(合格)されにくくなります。
面接時やオープンキャンパスに向けて自己分析をすることは、自分についてに具体的(障がいの特性による)に答えることができ、学校側に自分について理解してもらうことで、「学校生活のイメージ」を持ってもらうことにあります。
自分シートの作成①
ASTEPの、キャリアの形成を促進する療育について(身につける能力の枠組み)の赤枠内の項目に基づいて行いました。
自己分析に係る「自分シート」は、以下の項目ごとに分けています。
- 自分の過去を知ること(どんな環境?そんな性格?自分の生い立ちなど)
- 自分の今を知ること(今何に興味がある?何に力を注いでいる?)
- 自分の未来を見通すこと(学校で何がしたい?その先は?)
多くの人は、今の自分や未来の自分のことの方が大事、過去は過去のものと思いがちですが、私たちが最も重要視している項目は「自分の過去を知ること」だと考えています。
その理由は、過去を知ることで、自分には何が必要なのか?何が足りていないのか?を知ることができ、未来においてどんなことが必要か?が明確になるからです。
今回、過去の自分を知るということで、項目は2つのみに絞りました!
- 自分の好きなところ(得意なこと)
- 自分の嫌いなところ(苦手なこと)
制約なしで自由に書いてもらいました。
自分シートの作成②
「できた!」と提出してくれたので早速チェックします。
嫌いなこと(不得意)の理解はあるものの、自分の好きなこと(得意)は、あまり記載がなく、やや的の外れた内容となっていました。
私たち指導員が考えると、たくさんいいところがあるんです。
- 与えられたこと(仕事)はやり切ることができる。
- AからBへの切り替えが早い
- 記憶力がいい
などなど、たくさん良いところはありますが、本人は自覚してないんです。
※この記事を書いている現在は、しっかりインプットできています!
また、苦手なことは必ずしも克服しなければいけないものではありません。苦手なことも「個性」なんです。
苦手なことを克服するよりも、得意なことでカバーできれば一石二鳥ですよね!
アプローチの仕方として「〇〇ちゃんはこれが苦手なんだ~」
同意・肯定します!絶対否定はしません!
「得意なことでこう書いてるけど、これって苦手なことに生かせそうじゃない?」こうした流れで話を掘り下げていきます。
自己分析で「自分」を知るために
自己分析というと、自分で自分について知ること・分析することだと勘違いしがちですが、いい方法を紹介します!
指導員がプリントに赤字で書き込み、その内容を話し込むと「自分」への具体的かつ客観的な意見を知ることができ、今まで知らなかった自分と出会えます。
障がいを持つ子どもは、特性にもよりますが、自分を客観的に捉えることが難しい場合があり、この方法が最も有効です。
私は、学校の先生やデイの指導員よりも、一番は、家族・兄弟に実践してもらいたいです。一番の良き理解者であることは間違いないですからね。
- 子どもの成育歴を話す
- 子どもの好き・嫌いを話す
- 子どもの性格について話す
- 子どもの得意・不得意を話す
是非、ご家庭で実践してみてください!書いて渡してあげるといつでも読み返せるので効果的です。
さいごに
自己分析に割いてきた労力は、評価する側(学校)に、必ず伝わります。
評価する側もその道のプロです。話し方や話す内容、話す姿勢、話す態度などから、その人の努力は伝わるものです。
また、受験など評価される場面でない時でも「自分シート」は有効です。
キャリア療育を通して、自分を見つめなおすいい機会となりますし、自分自身を深く知れることに繋がります。
また、ご家庭で取り入れられることで、コミュニケーション力や自己肯定感の向上なども期待できます。
お子さまとの関わりの一環として取り入れてみてくださいね!
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