こんにちわ!こんばんわ!
放課後等デイサービスASTEP、管理者の水口幸代です。
ホームページでもご紹介させていただいておりますが、ASTEPでは社会自立を目指す取り組みの1つとして「社会体験活動」を行っております。
通常の中学校・高等学校、職業学科のある支援学校では、「仕事体験」の機会がありますが、ASTEPの社会体験活動は、それとはやや異なる視点で行う取り組みになっています。
見学や仕事の体験だけではなく、実際の企業活動の現場に入り、企業に所属する方とともに、実際に行っている仕事を行うという本格的な内容です。
今年の夏休み期間は、2ヶ所の企業に協賛をいただき、社会体験活動を実施する計画です。
社会体験活動について、活動に至る実体験を踏まえた背景、学校での職場体験との違いなども含めて、詳しくご説明していきますね!
目次
社会体験活動の背景(エピソード)
社会体験活動を行うに至った、私(管理者)の体験談を交えてご説明します。
ある子ども(高校3年生)は、就職活動に成功し、自身のキャリアを社会へと移しました。
しかし1週間もしないうちに、浮かない表情をしながらも、どこか開き直った様子で、私に会いにきました。
その子の服装を見ると、一般的にだらしない服装にサンダル姿…
私は、その子に対して「どうしたの」と聞くと、その子は「おもしろくないし、キツイからやめた!」と、あっさり言いました。
その外見や表情、態度を見て、私自身に何ができるのかを考えさせられました。
学校では、何かミスをしても、叱られたあとにフォローをされて済みますが、社会では叱られっぱなし、フォローをしてもらえないばかりか、何度も同じミスをすると見放される…厳しいですが、それが現実です。
学校とは違う目線で、私たち事業者ができることはないだろうか?と考えました。
学校で行われている取り組みとして「仕事体験・職業体験」があります。主に仕事におけるスキルアップを目的としています。
しかし、仕事のスキルアップを目的とすることよりも、仕事に対する考え方や価値観のイメージ持ち、ブラッシュアップする目的で行うことが、まず先決なのではないかと考えました。
物事(仕事を含む)に対する姿勢、言葉遣い、TPOを意識した服装や行動など、内面的な成長に重きをおかなければならないと感じ、それらの成長を狙いとする社会体験活動の発案に至りました。
教育の現場ではなかなか行き届かない部分がある現状を、私たち療育(発達支援)を行う事業者は、深く認識しなければなりません。
社会体験活動の必要性
社会体験活動には、利用児童が直接働く人と接することにより、また、実際的な知識や技術・技能に触れることを通して、学ぶことの意義や働くことの意義を考え、生きることの尊さを実感することを求め、取り組みを行います。
また、主体的に進路を選択決定する態度や意志、意欲など培うことのできる活動として、重要な意味を持っています。
障がい者雇用を取り巻く環境は、近年大幅に改善している現状を鑑み、これまで以上に勤労への意識付けを図ることで、社会に出たときのギャップを最小限にし、就労へのチャンスの幅を広げる狙いがあります。
キャリア療育の視点に立った社会体験活動の在り方
ASTEPのキャリア療育の視点から見て、中・高の段階別に上図のような段階と課題が考えらます。
社会体験活動を進める上において重要なことは、利用児童の発達段階を踏まえて、全人的な成長・発達を支援する視点に立って行うことです。
人間の成長・発達の過程には、いくつかの段階(節目)と、各段階で取り組まなければならない発達課題があり、ASTEPにおいて個別療育(キャリアの形成を促進する療育)で見極めて実施します。
社会体験活動の目的
自分の親がどんな仕事をしているのか、どれくらいの子どもが具体的に答えられるでしょうか?
今の社会では身近な大人が働いている様子を見る機会がほとんどありません。たとえ親が在宅で仕事をしていても、実際に何をしているかは知らないことがほとんどだと思います。
社会体験活動の第一の目的は、子どもたちから失われた「働いている大人」に直接、接する機会を提供することです。
また、個人のスキルアップを目的としておらず、障がいと上手く付き合いながら将来、就労を果たすために、何を考え、何を必要としているのか?を探すための取り組みです。
自分で実際に仕事をしてみることで、仕事の大変さに触れ、自分の生活が親や周囲の大人の働きによって守られていることに気づくきっかけを作ります。
そして、仕事をやり遂げることによって達成感を感じ、人の役に立つことで、社会の一員としての自覚と責任感を育みます。
学生という守られた環境から出ることで、実社会の現場に立つことにより、社会のルールやマナーを身につけること。そして、異なる世代の人々と触れることで、コミュニケーション能力を育成します。
これらの経験をすることで、働くことの意義を学び、障がいを持っていても、自分が将来社会に出て働く姿をイメージしやすくなります。
自分の将来像に向かって、今何をすべきか考えるきっかけになり、自らの意思で進路を選択決定する主体性を身につけることを狙いとしています。
社会体験活動へ向けた前後の取り組み
ASTEPの社会体験活動は、仕事(体験)のみにとどまらず、事前・事後の学習においての時間をとり、段階的な準備と経験の定着を図っています。
事前学習
事前学習に費やす時間は、5~8時間とし、個別療育の時間で行います。
行う内容としては、活動の目的について見つめ考える内容を中心として、企業から任される仕事と類似した作業学習、人との関わりで必要最低限のマナーや言葉遣いなどを、実地形式で行います。
事後学習
事後学習に費やす時間は1~3時間とし、個別療育の時間で行います。
行う内容としては、レポートの作成や発表を行い、効果の定着を図ります。
このレポートや発表の内容は、保護者様に情報提供させていただきます。
ご提供した情報をコミュニケーションの議題として、親子間で将来の就労について考えていただくことを目的としておりますので、ご協力を宜しくお願いいたします。
社会体験活動の参加対象と期間
普通学級や特別支援学級を問わず、将来、就労を目指す利用児童を対象とし、保護者のご意向をお聞かせいただきながら参加の可否を決めたいと思います。
1日で終わる一過性の活動ではなく、3日間の連続勤務を予定しております。
社会体験活動に協賛いただく企業
今年の夏季休暇期間は、現在調整中の段階ですが、TOYOTA(ネッツ)、京都トヨタ、成望館(就労支援施設)を候補として予定しております。
仕事の内容としては、TOYOTAでは裏方の仕事(洗車や広告作成、スタンプやシール貼りの作業など)、場面に応じて接客についても実施していただきます。
社会体験活動の参加する利用児童の発達段階、また、協賛企業様のニーズを総合的に判断し、今年は上記企業様の協賛で取り組みを検討をしております。
さいごに
ASTEPの社会体験活動(事前・事後学習含む)で、子どもたちは社会への関心を高め、自身の「人生の経験値」を積みかさねていってもらいたく思います。
いつもは守られた環境で過ごしてい子どもたちが、3日間ではありますが、社会人として振る舞う社会体験活動は、多感な年頃にさまざまな驚きや発見、感動を生み出すものと捉えています。
現在、ASTEPの理念にご賛同いただける様々な企業様にご協力をいただいております。
子どもたちや私たち職員も含め、非常に貴重な経験をさせていただけることに心より感謝を申し上げます。
夏休みまで、あと2ヶ月ほどです。計画がまとまり次第、ご利用保護者様へお伝えしますので、宜しくお願いします。