発達障害ADHDの子どもは、困った行動が多く見られ、ついつい感情的に怒ってしまったりして頭を悩ませている親御さんも多いかと思います。
ところが、感情的に怒ってしまったり、不適切な叱り方をしてしまうと、子どもの発達に悪影響を及ぼすこともあります。
何よりもここで大事なことは、”間違った叱り方を知ること”です。
まず大前提として、子どもに躾は必要ですが、良い叱り方という確固たる方法は存在しないと言っていいかもしれません。
当然ですが、それぞれの子どもの特性や性格、学齢によってその効果は様々です。ここで解説するのは、良い叱り方ではなく効果的な叱り方です。
悪い(不正解な)叱り方を知り、子の特性に応じた効果的な叱り方を実践されてください。
目次
発達障害(ADHD)の特性
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは不注意・多動性・衝動性を持っています。
- 勉強中に不注意な間違いをする
- 活動中に注意を持続することが困難
- 話を聞いていないように見える
- 指示に従えず勉強をやり遂げられない
- 課題を順序立てることが困難
- 精神的努力が必要な課題を嫌う
- 必要なものをよくなくす ・外的な刺激によってすぐ気が散る
- 日々の活動で忘れっぽい
- 足をそわそわ動かす
- 席についていられない
- 不適切な状況で走り回る
- 静かに遊べない
- じっとしていない・お喋り
- 他人を妨害し、邪魔する
- 質問が終わる前に答え始める
- 順番を待つことが困難
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発達障害(ADHD)の子どもには、これらの行動が目立ちます。
こんな風にトラブルが多く、心配も尽きないADHDの子どもの叱り方で悩んでいませんか?
発達障害(ADHD)の間違った叱り方
間違った叱り方を結論から言うと、問題行動が多いことに悩み、何でもかんでもとにかく厳しく叱ってしまうことです。そうなると…
- 同じことを繰り返す
- 次第に反抗的な態度を取るようになる
- パニックを起こすことが多くなる
このように見境なしに事あるごとに叱ってしまうと、余計に問題行動が増えるだけです。
通常、子どもは叱られることで、「やっていいこと」「ダメなこと」を学び、社会性を身に付けていきます。
しかし、叱り方が間違っていると効果がないどころか、子どもの発達に悪影響を与えてしまうことがあります。
間違った叱り方による悪影響
先ほど、何でもかんでもとにかく厳しく叱ってしまうことがNGだとお伝えしましたが、具体的に言いますと…
- 感情的になる
- 叱る基準がない
- 子どもの人格を否定する
これらの要素が含まれた叱り方をしてしまうと次のような悪影響を及ぼすことがあります。
思考の停止
発達障害ADHDタイプの子どもは、ワーキングメモリという情報処理能力が弱い傾向があります。
そのため、叱る基準が明確でなく、時と場合で親の対応が変わったり、一度にたくさんのことを指摘してしまうと、子どもの思考を混乱させてしまいます。
人間の脳は言語情報よりも非言語情報を早く処理する仕組みになっています。
言語情報=話の内容
非言語情報=声の大きさ・高さ・早さ
そのため、感情的に叱ってしまうと子どもは「怖い!」「嫌だ!」という気持ちで頭がいっぱいになってしまい、話の内容が全く届かなくなってしまいます。
自信喪失
発達障害の子どもの困った行動は、すべて脳の特性が原因であり、本人にもコントロールが難しいもの。
そのため「何回言えばわかるの?」などと過去の失敗を掘り起こすような叱り方をするのは、子どもの自己肯定感を下げてしまうことになります。
さらに発達障害(特にグレーゾーン)の子どもはADHDタイプに限らず、ネガティブな記憶を持ちやすいと言う特性があります。
発達障害(ADHD)の効果的な叱り方
注意欠如・多動症の対応では、「薬による行動改善」「環境改善」「行動療法」を3つが挙げられますが、ここでは主に行動療法に係る叱り方について紹介します。
親子のコミュニケーション
親子のコミュニケーションを円滑にするために、肯定的な声かけを増やして、親子のコミュニケーションをスムーズにすることが必要です。
そして最も大事なことは、困った行動ばかりに目を向けるのではなく、普段から子どもができているところに注目してあげることです。
- ちゃんと歯磨きできたね!
- ご飯全部食べられたね!
- 約束覚えててくれたんだね!
- 宿題最後までやり切れたね!
このように、当たり前にできているような行動をそのまま口に出すだけです。
さらに子どもは肯定されると自信がつき、行動力がUPするので脳が発達していきます。その結果、衝動性が落ち着いてくるので困った行動も減っていくことが多くあります。
叱る基準を決める
ADHDの子どもは問題行動が目立つことも多く、つい何でもかんでも叱ってしまうことがあります。その中でも、叱る必要がないことまで叱ってしまっているケースも存在します。
本当に叱らなければいけないことは「許しがたい行動」、その多くは、自分や他人を傷つける行動、他人の心を傷つける言動です。
なので、宿題をしないことや、片付けをしない、今の時代で言うとタブレットを見続けたりなど…これらの行動は「まだできないだけ」なので、叱るべきことではありません。
「まだできないこと」に必要なのは、できない原因を探り、適切なサポートをしてスモールステップで成功体験を積ませることで解消していきましょう。
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子どもに考えさせる
許しがたい行動に必要なのは、子どもに考えさせる叱り方をすることです。そのためには…
② 現状を言語化させる
③ どうすればいいかを考えさせる
このステップを心掛けて実践してください!例えば、友達を叩いてしまった時…
② 相手の状況や今の状況を口に出させる
③ 「どうすればいいかな?」と取るべき行動を考えさせる
ここで大事なのは、子どもに成功体験を積ませることです。説明ができたり、ごめんと言えたりできたらすかさず褒めてあげてください!
こうやって対応することで、自分の行動の何がダメだったのかを理解することができ、次にどうすればいいのかを考える力がついてきます。
まとめ
ここまで間違った叱り方、正しい叱り方について解説してきました。
発達障害ADHDタイプの子どもに効果的な叱り方のポイントは…
② 叱る基準を決めること
③ 子どもに考えさせること
間違った叱り方を知ることで、親御さんにとってもついつい叱ることがなくなるとストレスも軽減されると思いますし、正しい叱り方を実践することで子どもをぐんぐん発達させることも期待できます!
効果的な叱り方を実践して、子どもとの良好な関りの一助となれば幸いです。
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