今回の記事は「放課後等デイサービスには2種類しかない!」というテーマでお伝えをしていきます。
様々な趣向を凝らした放課後等デイサービスが乱立してますが、どんな事業所でも大きく2種類に分断することができます。
放課後等デイサービスの利用をお考えで、事業所選びをしている方や、現在、在籍している事業所を改めて判断する材料となれれば幸いです。
目次
大きく”2種類”に区分できる!
結論から書きます。以下の区分で分けることができます。
- 自立支援型
成長に寄与できる効果的なプログラムを提供し、成果を出す事業所を指します。
運動能力、学力、コミュニケーション力の向上、進学や就職の支援など成果を追求します。
運動や学習、就労に特化した事業所なども含まれます。 - 見守り型
家でゆったり過ごせるような雰囲気、いわば、子どもの自由を大切にした事業所を指します。イメージとしては「学童保育」に近い存在です。
親御さんの就労やレスパイトのため、サービス提供時間などの融通が利くことも特徴のひとつです。
これら2種類の事業所の割合として『自立支援型:見守り型』とすると…
えっ…?ほとんどが見守り型ってことですか?
意外かもしれませんが、ほとんどの事業所が見守り型に分類されるんです!
令和2年8月時点で、放課後等デイサービス事業所の数は、1万5000事業所以上が存在していますが、その9割以上が保護者のレスパイトニーズを満たす見守り型の放課後等デイサービスなのです。
そうしたリアルな保護者のニーズも要因となり、ここ近年で事業所の数が爆発的に増えました。そのうち営利法人は半数を超えています。
効果的なプログラムを習得せず『見守り型』に特化した営利を目的とした事業所の参入は、大きな社会問題となっています。
一概に『見守り型』を否定するわけではありませんが、これら2種類に区分した事業所のメリット・デメリットを詳しく紹介していきたいと思います。
自立支援型の事業所
自立支援型の事業所を選ばれる保護者の特徴として、親なき後の子どものことを考え、社会で生きる術を身につけるとともに社会性の向上を期待し、就職を目指し、経済的にも自立をさせたいという願いをお持ちの方が多い印象です。
自立支援型の事業所を利用するメリット・デメリットについて紹介します。
※ 一般的な療育(発達支援)に係るアプローチの6領域をバランス良く、もしくはいずれかに特化して支援を行う事業所を指します。
『自立支援型』のメリット
- OT(作業療法士)やST(言語聴覚士)、PT(理学療法士)や音楽療法士などの専門スタッフが在中し、子ども一人ひとりの特性に合わせたプログラムを提供してくれる。発達相談なども行えるため心強い。
- ○○面(運動・芸術・PC技術など)を伸ばしたいが、一般の習い事やスクールには障がい特性があり通えない子も、習い事感覚で通うことができる。
- 子どもの特性を理解した特化型の事業所であれば、子どもの得意が見つかり、その強みを伸ばすことができる。
『自立支援型』のデメリット
- 子どもの苦手感によってこれらを個別(または小集団)で取り組むため、子ども自身、楽しいという感覚で取り組むことができない場合がある。
- 集団活動時、レベル(特性や学齢)に応じた目標を設定せず実践すると、失敗や嫌悪感を感じ、自己肯定感の低下に繋がる恐れがある。
- 子どもへの適正な評価、多くの保護者のニーズに応える事業所は圧倒的に人気であるため、待機児童が多く、すぐに入所することが難しい場合がある。
見守り型の事業所
自立支援型の事業所を選ばれる保護者の特徴として、子ども同士の関わりを重視し、また、両親が共働きのため送迎時間に融通の利くところに魅力を感じられる等、生活支援的な考え方を持っている方が多い印象です。
自立支援型の事業所を利用するメリット・デメリットについて紹介します。
『見守り型』のメリット
- 「他人に興味がない」「人の気持ちがわからない」という情緒面の弱さがある子にとっては、似たようなタイプの子が放課後に集まって過ごせる施設があれば、そこで子ども同士の関わりの中で社会性を学ぶことができる。
- 学校が終わった後に友達と遊べる場という意識の中で、子どもたちにある程度の「自由度」を与えてリラックスして時間を過ごすことができる。
- 自立支援のプログラムがない分、急な利用依頼や早迎えや営業時間外対応など、保護者のニーズに応えられるスタイルをとっている事業所が多い。
『見守り型』のデメリット
- 自由度がある分、何をしていいのか分からない子にとっては見通しが持てずに混乱を招く場合がある。
- 保護者からの「こんな活動をしてほしい!」などの要望が通らないことがある。専門性(知識・経験)を持つ指導員が少ない傾向がある。
- 『見守り型』であるが故に、子どもを放置しているだけの施設がある。テレビをみせているだけだったり、ゲームをさせているだけだったりする質の悪い施設が存在する。
事業所選びの判断材料は?
2種類の事業所のメリット・デメリットを紹介してきましたが、そもそも放課後等デイサービスは、必ずしも通わせなければならないものではありません。
しかし、家族との関わりが中心となってしまいがちな発達障がいを持つ子どもにとって、放課後等デイサービスを利用することでその世界は広がることは間違いありません。
また、親の休息確保(レスパイト)の役割としても、放課後等デイサービスは重要な意味があります。親が心身共に元気でなければ、子育てに余裕がなくなってしまうからです。
事業所選びや、現在利用している放課後等デイサービスを判断する材料として…
抽象的な答えですが、これに尽きるものだと思います!
そして、次にすることは、親が子どもを「評価」してあげてください。
評価というのは、まず、親が子に「将来的にどうなってほしいのか?」
私たちが事業所がニーズとして捉える「親の願い」です。
それが明らかになったら「障がいの特性」を評価してあげてください。
特性を評価できたら、あとはその子の特性(性格)が事業所に合うかどうかです。
- 強みを更に強いものにしたければ、強みを伸ばせる自立支援型の事業所
- 課題を軽減してあげたいのであれば、課題を軽減してくれる自立支援型の事業所
- 自由な制約の中、リラックスして過ごしてもらたいのであれば見守り型の事業所
- 保護者のライフスタイルに答えてくれる事業所であれば見守り型の事業所
このように、親の願いから始まり順序立てて明らかにしていくことによって、漠然とした親の願いも洗練されていくはずです。
最終的に、その事業所は「安心して子どもを預けられる」と言えるでしょう。
さいごに
現在、厚生労働省では放課後等デイサービスが今後『2類型』となる方向性で検討がなされています。
- 「特定プログラム特化型」
理学療法など専門性の高い支援を提供する施設 - 「総合支援型」
現行の運営指針にある創作活動など四つの活動をすべて行う施設
今後の放課後等デイサービスの支援についても大きく変わってくることが予想されます。
事業所側としては、いわゆる「特化型(学習・ICT・音楽など)」の事業所は大きく支援の方法が変えざるを得ない状況となる予想をしています。
そして2類型になったあとも、今回”2種類”しかないと紹介をした事業所は、今後も存在していくものだと考えています。
放課後等デイサービス選びをしている方や、現在、在籍している事業所を改めて判断する材料となれれば幸いです。
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