今日の記事は「得意を伸ばす」についてです。
発達障がいと聞き、どうしても「苦手・課題」が先行したり、出来る事が少ないというイメージがあったりして、日常生活の様々な場面で「生きづらさ」を感じることがあります。
しかし、その特性について正しく理解し対処することで、軽減することは十分に可能です。
自己肯定感を高める上でも、できないことや苦手なことは「嫌いにならない程度」の努力にとどめ、好きなことや得意なことを伸ばしていくことが大切です。
今回は発達障害の3つの特性別に、得意と苦手を比較したうえで、特性を活かした職業について紹介していきます。
※スマホで閲覧される方、少し読みにくいところがありますがご容赦ください。
目次
得意と苦手の比較
発達障がいは能力の凸凹であるとよく表現されますが、得意分野と苦手分野に大きな差があるのが特徴です。
得意分野と苦手分野のバランスも人によって違い、ある一部分だけに能力が高い人もいればある一部分だけの能力が極端に低い人もいます。
発達障がいの支援が難しいと言える一方で、だからこそ発達障がいは個性的で受け入れられれば楽しいとも言えます。
ここでは、一般的に言われている得意・苦手を比較していきたいと思います。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の比較
自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合されてできた診断名です。対人社会性やイマジネーションに困難さがみられます。
自分の好きな事に熱中できる | → なかなか止められない |
やりとげようという気持ちが強い | → 途中で変更されるとイライラする |
やるべきことをやって、穏やかに平和に過ごしたい | → 急な予定変更や、見通しが立たない状況が不安 |
ものごとの細部に目が届き、独創的な発見がある | → ちょっとした変化や、いい加減なやり方も見過ごせない |
注意欠如・多動性障害(ADHD)の比較
症状は12歳よりも前に表れることが多く、複数の状況や場面(家庭・学校・習い事)で不注意や多動性、および衝動性がみられます。
好奇心が強く、挑戦好き | → 楽しいと感じることが少ない |
興味があることに関しては異常な集中力を発揮する | → 好きと思えないことに集中力が続かない |
あらゆる感覚に敏感 | → あらゆる感覚に敏感なため、注意がそれる |
不安や心配が少なく、享楽的 | → 納得できないと動けない、マルチタスクが苦手 |
学習障害(LD)の比較
全般的な知的発達に遅れがないものの、文字を読み書きする学習(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い)に対しては著しい困難を抱える障害です。
物事を予測する力に長ける | → 文字に起こすことが困難な場合がある |
ストーリーを構築する力に応用できる | |
空間把握力が高い | → 特定の分野では力を発揮できるが、他の分野では力を発揮することができない可能性がある |
論理的思考力が実は高い |
発達障がいの人に向く職業
合う仕事を見つけるためには強みと弱みを理解することが必要です。
ここでは一般的な特性を踏まえて、合った職業や働き方を一例として紹介していきます。
自閉症スペクトラム障害(ASD)に合った職業
上記の強みを活かすには、集中して正確に物事を遂行する対応が求められる業務次の様な業務が向いていると思われます。
- 人事
- 経理
- 事務アシスタント
- エンジニア
- 技術職など
仕事のゴールイメージを描きづらい。「もっと自分で考えて」や「真面目にやって」等と言われてしまい誤解を受けることがある | → 自分が立てた仕事の計画と進捗状況を小まめに報告する。小まめな報告を通じ、仕事の依頼者のゴールイメージとズレが無いかを確認、ズレが生じている場合にはストレートに指摘してもらえるように相手に頼んでおく。 |
暗黙の了解を推し量ることが苦手で曖昧な表現がわからない | → 指示はわかりやすくストレートに伝えてもらえるように相手にあらかじめ伝えておく。 |
共同作業や分担をする場面で、自身がどう行動すると良いかを察することが苦手で、「協力的でない」と誤解を受ける | → その苦手さを周囲にあらかじめ共有し、具体的な指示を出してもらえる様に会社にあらかじめ伝えておく。また、自ら積極的に指示をもらいにいくと更に対策となる。 |
マルチタスクや割り込み業務への対応が苦手 | → 頭の中だけで処理せずにメモを取ると良い。また、頼まれた仕事について相手と認識の相違が無いかを確認するため、メモを取った内容を声に出して読み上げて相手に確認を取ると更に対策となる。 |
自分に合った仕事や職場環境がわからない | → 自己分析等を行うだけではなく、実際に業務を行う等の体験から学びを得ること。また、体験だけでなく体験後に周囲からのフィードバックを得ると更に対策となる。 |
注意欠如・多動性障害(ADHD)に合った職業
上記の強みを活かすには、スピード感や臨機応変な対応が求められる次の様な業務が向いていると思われます。
- 総務
- 企画
- 営業
- 販売
- サービス職
- クリエイター・クリエイティブ職など
ケアレスミスが出やすい | → 無理に集中力を高めようとするのではなく、チェックリストを作成しセルフチェックする等の工夫を行う。同僚や上司にダブルチェックをお願いする。 |
複数の仕事を頼まれると抜け漏れが発生する | → 頭の中だけで処理せずにメモを取る。また、頼まれた仕事について相手と認識の相違が無いかを確認するため、メモを取った内容を声に出して読み上げて確認する。 |
順序立てて仕事を行うことが苦手・時間管理が苦手で、仕事の納期に遅れる | → 1日の仕事の計画をあらかじめ10分単位で作成し、実際にその通りに仕事が進んだか、進んでない場合はどれ位の誤差があったかをチェックする。自分が立てた仕事の計画自体が周囲の期待とずれている可能性もあるため、計画や進捗報告を周囲へ伝え、ズレがないかを確認する |
思ったことをすぐに口にしてしまい、周囲に誤解を与えてしまう | → 思ったことをすぐに口にしてしまうことや他意はないことを周囲にもあらかじめ伝え、不用意な発言があった場合は教えてもらう関係性を事前に作っておく必要がある。 |
学習障害(LD)に合った職業
上記の強みを活かすには、スピード感や臨機応変な対応が求められる次の様な業務が向いていると思われます。
- デザイナー
- アニメーター
- カメラマン
- 役者
- イラストレーター
苦手なことがあると「この業務はできない」と避けてしまいがち | → 電子機器などを使うことで苦手を補えるケースがある。仕事をする上で苦手な業務を完全に避けることはどうしても難しいので、テクノロジーを駆使して工夫しながら業務に取り組んでいくようにする。 |
口頭の説明を聞いて理解することが難しい | → 紙に印刷したり、動画や音声で記録することなど、周囲に少し配慮してもらうだけで仕事がスムーズに進められるようになる場合がある。 |
まとめ
ここまで、発達障害の得意・苦手の比較と、発達障害のある方に向いている仕事と働き方の工夫について解説してきました。
発達障害は、人によっていくつかのっ種類の特徴が出ていたり、発達障害の強さの度合いが人により異なったりすることから、将来、社会に出て、仕事をする場合には、自分に出来ること・出来ないことをしっかりと把握しておくことが重要です。
苦手分野より得意分野、ダメな自分よりできる自分、そんな風に意識を変えると生活や人生が自然に肯定的に回り出すはずです。
また、家族や周りに発達障害の人がいる場合は、理由を想像しながら何に困っているのかを見極めて、その人にあわせた働きかけをしてあげてください。