発達障害の子は「できないこと」「難しい事」「やってはいけないこと」などが目に付きやすく、叱ったり注意をしてしまうことがつい多くなってしまいます。そのため、子どもたちも注意や叱責を受ける機会が増えるため、自身を失い、自己肯定感も少なくなってしまう傾向にあります。
- 叱る、怒る
- 注意をする
- 訓練する
- 強制的に頑張らせる
発達障がいや知的障がいへの子への支援は、こういった歴史があり、今まだそんなやり方を中心にしている、事業所や支援者もいます。
そうした歴史的な背景もあり、最近は、「褒める」というワードがよく耳にされる方も多いかと思います。
「褒める」という行為自体に効果はあるのか?という疑問に対してはもちろんYesです。
しかし、それよりも前提として、褒める前に認めることの大切さ・重要性について解説をしていきたいと思います。
目次
「褒める」の背景
「褒める」と聞いて皆さんが連想する言葉…
- すごいね!
- かっこいいね!
- さすがだね!
- えらいね!
- バッチリだね!!
代表的な褒め言葉はこんなところでしょうか?他にも、立派だね、大丈夫だよ、成長したね、などなど挙げればキリがないほど褒め言葉は存在します。
これらの褒め言葉は「できたら褒める」が前提にあります。そしてできたらご褒美をあげるというのもされている方が多いと思います。
これらの褒め言葉を使う背景には、親や支援者の思った通りのことや約束通りのことをすれば、それを褒めて、さらにやる気を持たせるというものです。
一見、叱ったり注意をするよりは、褒める方がこちら側にとっても子どもにとっても気分もいいものですし、頑張れる感じはします。
ところが、この褒めるという行為が、新たな問題を引き起こしている場合があります。
次に「褒める」の落とし穴について解説していきます。
「褒める」の落とし穴
前述で「褒める」の背景を解説しましたが、その落とし穴に気付いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
その落とし穴とは、『褒められないとやらない』ということです。そしてもう1つ、褒めればやってくれるという『上下関係』が知らず知らずのうちに生まれていることです。
例えば、おもちゃの片付けをしたら、おやつが食べれるというルールにしたら、おやつがないとやらないといったものです。
また、親や支援者に褒められたいから頑張る!といった心理になることは、上下関係が生まれてしまっています。
自閉症のお子さまなどには、「ご褒美制度」は理解しやすく、見通しを立てる時に「やったらもらえる」という方程式になり、日常へ導入がしやすいと思います。
この行為にはお金も関係してくる上に、そのご褒美がないとやらなくなる可能性があります。
叱るより褒めるが良いにしても、それがなければやらないと判断をされるのは、いささか疑問を感じます。
上下関係という課題も、支援の現場(ほとんどの事業所)で存在しています。職員にほめられることで、やっぱり子どもたちは、職員を上の人だと認識してしまっています。
「褒める→認める」にシフト
褒めることへの落とし穴について解説をしてきましたが、決して褒めることが悪いということが言いたいわけではありません。
褒めることの背景や落とし穴を理解した上で、”認める”ことを取り入れてみてはいかがでしょうか?
例えば、さっぱり髪の毛を切ってきた子どもに対し、「髪型カッコいい(可愛い)ね!」というのは褒めることです。
認める言い方をすると、「髪切ったんだね!」これだけです。その存在、その事実を認めるという視点です。
それは、”自分を見てくれている”という感覚になって、非常に有効的です。そして、”認める”は、何かの代償のためにやるという感情はありません。
「ありがとう・助かったよ・できたね」などの言葉は、人の心を動かすのに有効なのです。
さいごに
いかがでしたか?
褒めることや叱ることが決していけないことではないことは前提としてお伝えしていますが、褒めること・叱ることの背景を知ったうえで、上手に使い分けていくと効果もグンと上がります。
また、今回の記事で解説をした、”認める”という行為は、子どもたちにとって自立に有効な手段と考えています。
試しに取り入れてみてはいかがでしょうか?
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