子どもの発達が気になる親御さん、就学先に悩む保護者の方も多いことだと思います。
特別支援学級や通常学級など、就学先によって異なる教育環境やメリット・デメリットを知って、子どもにとって一番いい選択をしたいものですよね。
この記事では、発達障害のある子ども(未就学児)の就学先について考えを深め、特別支援学級における指導や支援の内容についてご紹介しています。
- 発達障害の特別支援学級について
- 特別支援学級の支援、指導について
- 就学先の決め方について
特別支援学級の支援や指導について理解するものです。ぜひ参考にしてもらえれば幸いです。
目次
特別支援学級について
文部科学省では発達障害のある子どもを支援するために、特別支援教育に力を入れています。どのような就学先があるかご紹介します。
就学先の種類
発達障害やそのほかの障害のある子どもの就学先は、大きく分けて2種類!
「小学校」と「特別支援学校」があります。
「特別支援学校」は、視覚・聴覚・知的障害と、肢体不自由や病弱の子どもに教育を行う学校です。
一方、小学校には「通常学級」に加え、「特別支援学級」として小人数制で一人ひとりにきめ細かい教育を行うクラスと、通常学級に在籍しながら状況に応じて支援教室に通える「通級学級」が設置されています。
特別支援学級とは
特別支援学級は、障害の種別ごとにクラスが設けられており、1クラス8人の定員制です。
知的障害、自閉症・情緒障害、肢体不自由、難聴、弱視、病弱・身体虚弱の7種類の学級があります。
特徴としては、少人数制で一人ひとりの特性に応じてきめ細かい指導ができることです。
就学相談では、定められた基準をもとに話し合いや検査が行われ、医師の診断や保護者の意見をくみ取りながら、就学先を決定します。
特別支援学級の支援・指導について
発達障害のある子どもに向けて、特別支援学級ではどのような支援・指導をしているのか、詳しく解説していきます。
「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」
一人ひとりの発達障害の特性に合わせて「個別の指導計画」、「個別の教育支援計画」が立てられます。
「個別の指導計画」は、教育的ニーズに対する指導目標や指導内容を盛り込んだもので、学期や学年ごとに作成され、これをもとに指導が行われます。
「個別の教育支援計画」は、乳幼児期から卒業後まで長期視点で立てられる計画で、医療・福祉・教育など関係機関との連携や進級・進学にも一貫して引き継がれます。
学習レベルの配慮
授業では、必要に応じて各教科の指導目標や内容を下学年のものに替えたり、特別支援学校の教科書を使用したりするなどの対応がなされています。
指導にはプリントや手づくりの教材を用いるなど、一人ひとりの理解や特性に合わせたきめ細かい内容になっています。
生きる力を育てる指導
自閉症・情緒障害の支援学級では、教科学習以外の指導も重要です。
個々の特性や能力を生かすことができるよう配慮され、対人関係のスキルや適切に自己を表現する方法を学びます。
指導内容としては、健康で安全な生活習慣の形成や、環境への適応と情緒の安定、コミュニケーション能力やソーシャルスキルの育成などです。
教育環境について
教室内は安全面に配慮し、集中して学習できるよう環境を整えています。よく行われるのは、気が散りやすい子がいる場合、掲示物を極力減らすなどの工夫です。
授業は8人の生徒に対して担任が1人つき、目の行き届いた指導が行われます。
一方、ホームルームや給食・昼休みは通常学級に通い、通常学級の子どもと一緒に過ごすこともできるのです。
このように障害のある子もない子も、ともに学べる環境づくりは学習指導要領にも示されています。これは「インクルーシブ教育」といい、文部科学省で取り組んでいるものです。
就学先の決め方について
我が子に合う就学先はどのように決めたらいいのか?押さえておきたいポイントをご紹介します。
通常学級 or 特別支援学級
前項でお伝えした「個別の指導計画」と「個別の教育支援計画」は、通常学級に通うことになっても作ってもらうことができます。
特別支援学級のような手厚い個別対応は難しくなりますが、通級指導の利用や支援員の派遣により、個々のニーズを満たすことが可能です。
100%通常学級だけで過ごすのか、通常学級に在籍して通級学級を利用するかによって、計画の内容が変わるため、慎重に検討する必要があります。
通常学級に通うメリット
- 学習面での遅れがないこと
- 通常学級の子とコミュニケーションをとる機会が多いため刺激になる
- 通級学級を使うことで特性に対応できる
通級学級を使うことで特性に対応できる
- 個別での対応に限界がある
- 学習についていけなくなったときにフォローが必要
- 通常学級での刺激がストレスになることもある
- クラスメイトに特性をどのように伝えるかも悩む
決め方のポイント
通常学級と特別支援学級でタイプ別にご説明させていただきます。1つの参考としてポイントを抑えてもらえればと思います。
通常学級が合うタイプ
通常学級が向いているのは、友だちが多く、結果はどうあれ授業や課題に一生懸命取り組めるタイプです。
グループ活動や団体行動に問題なく参加できる子の場合、たとえ学力が低くても通常学級のほうが総合的にはメリットが大きいです。
このタイプの子は、人から「自分たちとは違う子」だと思われるのをとてもつらく感じるため、特別支援学級ではやる気や自信を失ってしまう可能性があります。
特別支援学級が合うタイプ
適切なコミュニケーションの仕方が分からない、孤立やトラブルを起こしがちというタイプの子は、たとえ知的レベルが高くても通常学級では能力を開花させるのは難しいです。
ストレスの多い通常学級より、適切な環境で感情のコントロールや自己表現の方法を学ぶほうが有効です。
小学校だけでなく、中学・高校など、将来のことも考えて、適切な指導が受けられる場所を選ぶのがポイントといえます。
決断される時の注意点
通常学級がいいか特別支援学級がいいかは、お子さんの特質や発達によって変わります。
これは、どちらが「いい」「悪い」というものではなく、「合う」「合わない」の問題ともいえます。
子どもにとって一番いい場所を選ぶためには、疑問に思うことは主治医や学校に何でも相談し、実際に特別支援学級を見学するなどして、納得できる決断をしてください。
まとめ
子どもの就学先は、将来にかかわることだけに、決断にはプレッシャーを感じる保護者の方も多いことだと思います。
確かに大きな決断ですが、一度決めたら途中で方向転換ができないわけではありません。
注意深く子どもの成長を見守り、状況に応じて選択を変えてもいいことを覚えておいてください。
本記事で、お子さまやそのご家族にとって最善の判断になれば幸いです。