「発達障がいの子どもは性欲がない」などの誤解があったり、親御さんは、日常生活に追われて性の問題まで考える余裕もなく自慰行為をしているお子さまに手が回らなかったり…こういった現実はご家庭や福祉の現場において、ある意味「黙認」されている風潮にあることが現実です。
眠くなったら寝る、お腹がすいたら食べる、おしっこがしたくなったらトイレで用を足す…性は、人間が行う基本的欲求なのです。
性への意識はなくとも、性器を晒したり、無意識に自慰行為をする子どもさんに対しどのように対応をするのか?親御さんのための子どもの「性」を考え、どのような方法で性について向き合っていくのか?
本記事では、“発達障がいの子どもの性教育②「性への関心とコントロール編」”についてまとめました。
目次
我慢する力を育てる
早速ですが、みなさんに問題です!
同じ電車の中に素敵な人がいた…さて、みなさんならどうしますか?
大多数の方が、「視線を送る」「近くの席に移動する」「声をかける」などの積極的な展開を期待し行動に移される方も多いと思います。
こんな意見は思い浮かばなかったでしょうか?
その素敵な人が見えない場所に自分が移動する、または、その電車から降りることで、自分の欲を打ち消す方法として場所を移すという選択があります。
この力がとても大切になってきます。
発達障がいの子は、そういう欲のコントロールが苦手であったり、人との距離感がうまく図れなかったりします。
性のコントロールの基礎
本来の性教育とは、子どもの時期の生活リズムにあります。
普段の生活の中で、食事・排泄・睡眠・清潔・運動を意識することで、頭で覚えるのではなく、体で人間関係の作り方を学んでいくのです。
- 食事
空腹になっても、食事の時間まで我慢する→我慢を乗り越えて食べた食事はおいしい→満足感を味わう。
この一連の流れで、メリハリやリズム、我慢を学びます。
好き・嫌いは、調理方法の工夫や食材の代替えを経験し、人との折り合いを学び調和がとれる子に育つ傾向にあります。 - 排泄・睡眠
排泄ではふんぎりを学び、睡眠では安心と安定を得ます。
睡眠は、睡眠時間でなく、朝起きた時の「おなかが空いた」という感覚が大事です。 - 清潔
快・不快、ストレスからの解放を得ます。 - 運動
色々な効果がありますが、1番わかりやすいのが感情抑制です。(キレない子になるなど)
自己コントロールができる子には、体を使った遊びがとても大切で、中でも球技が良いのですが、その子に合った運動であれば良いです。
あまりに日常的なことで、ピンとこない方もいらっしゃるかと思いますが、安定した生活、日々の積み重ねが、自己をコントロールする上で最も大事なことなのです。
恋愛や結婚について
この記事を読まれている方へ質問です。
発達障害がある子どもが、将来結婚できると思いますか?
ある統計では、9割方の親御さんが我が子の結婚を諦めている状況があるとの結果がありました。また、今は結婚しない人も多いし、できなくても生きていけるのではとの意見も見られます。
ある外国の事例…
外国では、知的障がい者が、同じ知的障がい者を支援する組織があったりして、そこでは自分たちで考え、自分たちで決めて、人生を豊かに生きていくための行動がとられています。
具体的には、知的障がい者同志が結婚をし、そのカップルが知的障がいのある子どもを養子に迎える。
なぜ、この子を養子に?との問いに、本人たちは、「この子のことを1番理解してあげられるのは、おそらく私たちだから…」と、その理由を答えました。
日本ではそこまではまだ難しいことかもしれないですが、いずれはそういう未来も来るかもしれません。
しかし、発達障がいの子にも、結婚を望んで良いのだなと、勇気や希望を持つことはできるはずです。
発達障がいがあっても、根本的な人間の部分は何も変わらないし、恋をしたい、パートナーを得たいと思う気持ちがあるのは当たり前の話です。
支援者や親の協力は必要なのかもしれません。また、当事者同士の方がうまくいくかもしれませんが、将来一緒に過ごせる人がいるということは、親にとってもなんとも心強い未来なのではないでしょうか。
月経の対応
女の子に限定されますが、月経への対応と言うことで解説をしていきます。
女の子が所かまわず、ズボンを脱いでしまう話を耳にすろことがよくあります。
脱いでしまう理由は、生理中の不快感から。恥らいや、性への自覚が芽生える前に、体の不快が勝ってしまって行動に出ているのです。
また、腹痛やホルモンバランスの関係で機嫌も悪くなりやすく、それが月に1度訪れるとなると、生理中のケアも含め、ご本人にとっては結構な負担です。
これらの問題に対して有効的な策は、自分に合った道具を見つけることです。
例えば、可愛い柄の入ったものや、好きなキャラクターがあしらわれたものを使用するなど。
また、ピルを使うことも有効的です。
子どもにピル?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ピルには生理を3ヶ月に1度にするもの、1年に1度にするものなど様々あります。
薬をやめれば、また毎月、ちゃんと生理が来るようになります。
どうしても生理のケアが難しい子や、気分の波が激しくなってしまう子には良い手なのかもしれません。
まとめ
総じて言いますと、”障がい者にも性欲はある”ということです。
今回や前回の記事で、事例として紹介した問題行動を起こることは普通のことなのです。大事なことは「どのように対処するか」です。将来、どうやって欲求をコントロールしていくか…という視点にたってアプローチをしていかなくてはなりません。
人によって問題行動の大小は様々で、どこまで悩ましい問題になるかはわかりませんが、人に迷惑をかけることのないように、我慢する力、自分の欲求をコントロールする力を、小さい時から養っていくことが大事なのです。
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