発達障がいの子どもに対し段階的に発達を促す「スモールステップ」の利点と実践例を解説します!

発達障がいの子どもに対し段階的に発達を促す「スモールステップ」の利点と実践例を解説します!

お子さまの発達が気になる親御さんや療育施設の指導員さんへ是非実践してもらいたいこと。それは…

「スモールステップ」のマインドを持ち関わりを持つこと、また、指導員さんについてはスモールステップでの目標をプログラムで設定し療育を行うことです。

いきなりハードルを高く設定するのでは、子どもは失敗から挫折感を味わい、チャレンジする心が折れてなくなってしまうこともしばしばあります。

ここでは、「スモールステップ」の利点と実践例を詳しくご紹介していきます。

スモールステップとは?

スモールステップとは?

スモールステップとは?

いきなり大きな目標を達成しようとせず、目標を小さな単位まで分割し、小さな目標を達成する成功体験を積み重ねながら最終目標へと到達していく学習方法。アメリカの心理学者であるバラス・フレデリック・スキナーによって提唱された。教育現場で用いられることが多く、無理なく子どもが成長していける学習方法として評価されている。

参照元:コトバンク「スモールステップ」

このように、「スモールステップ」とは、目標とする事柄を段階ごとに細かくわけ、少しずつ、習得できるようにする考え方のことを言います。

例えば、小学校1年生ではひらがな・カタカナを学習しだします。ひらがなやカタカナは五十音順と呼ばれていますが実は46個で、全て覚えれば終わりがあります。

しかし、漢字となると途方もない量や画数に戸惑いを感じ、先の見通しが持てなくなり、スモールステップで学習していかないと、必ず挫折してしまいます。

学校では、各学年ごとで習う漢字を細かく分けられていて、挫折しないよう段階が組まれています。このような考え方をスモールステップと呼びます。

スモールステップの使い方

スモールステップの使い方

目標達成が困難(比較的大きな目標)で、時間がかかる場合(生活スキルの習得や受験勉強など)や、難しい内容を達成しようとする場合(言葉を話す、文字が書けるなど)には、目標達成のためのモチベーションを維持することが困難なことが多くなります。

そんなときに、スモールステップを活用することで、少しの進歩(たとえば簡単な意思表示「はい・いいえ」が言えるようになったなど)に対する達成感をしっかりと子どもと共有し、次のステップへ向かうモチベーションを高めていきます。このように、スモールステップとは習得課題や学習内容を小さな単位に分け、段階的に習得や学習を進めていく方法です。

スモールステップを取り入れる利点

スモールステップの利点

スモールステップを取り入れる利点は、大きく3つ挙げられます。

1.子どもや支援する大人も達成しやすく、自己肯定感を得やすい!

2.どの段階で挫折しているのか分かりやすい!

3.教えるポイントが少量で済み、教えやすい!

詳しく解説していきます。

子どもや支援する大人も達成しやすく、自己肯定感を得やすい

スモールステップ:子どもや支援する大人も達成しやすく自己肯定感を得やすい

ステップを細かく区切るので、「すでにできるところ」から取り組み始めることが可能です。

最初から、「このくらいはできてほしい!」という保護者や支援する大人が期待する水準からスタートしてしまうと、子どもにとっては難易度が高く、失敗経験を積み重ねてしまう可能性があります。そうすると、子どもは「もうやりたくない!」と、課題そのものを嫌いになってしまったり、自信を無くして、他の課題に対するモチベーションも下がってしまったりすることがあります。

同様に保護者や支援者も、「なんでできないの!」とストレスを感じてしまったり、「私の関わり方が悪いのかも」と、自信を無くすことにもつながったりしかねません。スモールステップの考え方をもとに、「できるところから」スタートし、子どもも大人も、自信をもって課題に取り組むことができるようになります。

また、細かく「できた!」を実感することで、ほめられる経験も増え、自信が持てたり、自己肯定感を高めことができます。さらに課題そのものを好きになったりするだけではなく、ほめてくれる大人との関係も良くなりやすいでしょう。

どの段階で挫折しているのか分かりやすい

スモールステップ:どの段階で挫折しているのか分かりやすい

スモールステップをうまく実践するためのコツに「課題分析」があります。課題分析とは、1つの課題(行動)を細かい課題(行動)に分ける(分析する)ことを言います。

例えば、「トイレをする」という1つの行動に対して、段階ごとに細分化すると

①トイレに入る → ②ズボンを脱ぐ → ③用を足す → ④拭く → ⑤流す

と、細かく分けることが出来ます。この課題分析の結果が、「トイレをする」という行動のスモールステップになります。

「トイレが上手く成功できない」という子どもの支援を行う際に、例えば②の脱ぐところでつまずいているのか、あるいは③の用を足すところが苦手なのかがわかりやすくなり、そのつまずきポイントに対して重点的に練習したり、支援を提供したりすることが可能になります。

教えるポイントが少量で済み、教えやすい

スモールステップ:教えるポイントが少量で済み、教えやすい

課題分析により、スモールステップに基づいて支援を行うことによって、子どもに教える内容が1つに焦点づけることができ、子どもの反応にも注目しながら教えることができるようになります。

また、課題分析を行うことによって、必ずしも最初のステップから教え始める必要はなく、子どもが取り組みやすかったり、保護者や支援者が教えやすかったりするところからスタートするという支援計画も、スムーズに組み立てられるようになります。

具体的には、まだ上手に衣服の着脱はできないけれど、用を足すことはできるので、そこに焦点を当ててフィードバックしていこう、といった支援方針を立てることができるようになります。

スモールステップの実践例

スモールステップの実践例

ケーススタディ

受動型で不安の強いタイプの自閉症スペクトラムの子どもで、得意なことがある反面、苦手なことも数多く抱えていて、なかなか新しいことに挑戦しようとしません。
特にボールが怖がる様子が見られ、ボール遊びをする子どもたちの輪に入れず、ボール遊びの間は、1人遊びをしていることがある。

このような特性では、本来出来る能力を持っているのにも関わらず、不安や自信のなさから避けたていることが考えられます。そういう場合には「スモールステップ」はとても有効な方法です。

小さい子どもや特性によっては自分の困難を言語化しにくい場合も多いため、原因を探ることはなかなか大変ですが、スモールステップで手順を細分化していくと、どこでつまずいているのかが見えやすくなります。

スモールステップの順を追って解説していきます。

トークンを用意する

スモールステップ:トークンを用意

トークンとはご褒美のことです。たとえば、段階ごとのマスを用意し、達成ごとにスタンプカードを用意してスタンプを押してあげたり、スタンプがたまったら何か買ってあげるなどもモチベーションになります。(買ってもらえるからやる!と勘違いをさせないようにしないといけません。)

このトークンはお子さんのタイプや年齢によっていろんなご褒美にするのもよいでしょう。スタンプや物でなくても、ハイタッチや抱きしめてあげるのも良いトークンになるかもしれません。

苦手度によってトークンを設定するとよいでしょう。

まずは触るところからスタート

スモールステップ:まずは触るところからスタート

最初のステップはボールを手で触るだけ、まずは親や支援者がお手本で、ボールに触るだけでOKとスタンプを押しに行きます。そのあとに子供たちも次々とボールに触りスタンプを押しにきます。

お手本で見通しも立つので、これだけでいいなら躊躇なくボールに触ることが出来るはずです。スモールステップの最初の段階では、本人の能力的に絶対出来ることから設定し、それが評価されることが大事です。

これだけなら出来る→出来た→褒められた、の経験が次に繋がります。

ボールを使って安全な遊びをする

スモールステップ:ボールを使って安全な遊びをする

ボールを転がして相手に渡したり、こちらが転がしてキャッチしたりを繰り返し行います。様子を見て緩急をつけてみるのもいいかもしれません。

ボールに対し「当たると痛い」という認識があるのであれば、痛くない程度に軽く身体に当てたり、支援者が身を張って見せる事で「やってみよう!」という思いが湧くこともあります。

もし、ここで抵抗感を示せば、さらに細分化して、どこに抵抗感があるのかを分析し、抵抗感を払拭できる取り組みを考えながら行ってください。

その後は、様子を見ながらボールを投げたり、小集団でボール当てゲームを行ったり…

今まで近寄ろうともしなかったボールに対し、毛嫌いする様子がなくなってきます。

さいごに

京都府乙訓郡向日市の放課後等デイサービスASTEP(アステップ)さいごに

発達に凸凹があると苦手なことも数多く現れてきます。成長の段階で見えてくる場合も多々あります。

苦手なことに取り組む上で大切なのは、そのお子さんが取り組むものに対して十分な発達段階にあるかどうかを見極めることだと思います。

産まれたばかりの赤ちゃんにハイハイをさせようとしても無理なのと同じで、発達段階がそこに達していないことはいくらスモールステップにしても出来ません。

年齢が何歳だから、周りの子はこれくらい出来ているからという基準ではなく、個に対応することが大切です。

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どうも!ASTEPホームページ管理人です! 京都の乙訓圏域で放デイを運営しながら、積極的に現場に入って福祉の現状の改善に奔走しています。 InstagramやX(旧Twitter)ゆる~く更新してます★ どうぞご覧あれ~◎

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