宿題や家事のお手伝いなど、子どもとコミュニケーションを取っていると分かっていないであろうことでも「分かったフリ」をしてしいることがあります。
大人でも「分かったフリ」というのはついついしてしまいがちですが、この問題は、ご家庭だけではなく学校や就労先、放課後等デイサービスなどの集団生活の場においても解決すべき課題です。
その「分かったフリ」は、子どもの学ぶ意欲を阻害するだけでなく、分からないことを分かった気になって成長してしまうことで、将来にとって大きく損をしてしまうものです。
今回は、子どもと関わる大人(親や指導者)が、「分かったフリ」の原因を理解し、改善するためのポイントをご紹介していきます。
目次
「分かったフリ」の原因
なぜ「分かったフリ」をするのか?言葉を発し「分からない」と言えないのか?
その場の状況や子どもの心理状態によっても変わってきますが、ここでは大きく3つの原因を紹介します。
分からないことが分からない
発達障がいの子どもの分からないフリの原因として、ほとんどがこれに当てはまるのではないでしょうか?
説明されている言葉や内容の意味の理解ができず、理解できていないのにも関わらず理解をしているフリに繋がっています。
分からないことすら分からないときは「フリ」というより、質問をしたり、返す言葉見つからない場合が多いです。
分からないことがダメだという思い込み
分からないことは悪であるという思い込みを持っていることがあります。プライドが邪魔をして、分からなかったことを人に知られたくないという心理が働く場合もあります。
自分のかっこ悪さや間違いを認めることができず、見栄をはるような行動になっていることがあります。
怒られるのを恐れている
分からないことに対し正直に聞いたのにも関わらず、大人からの「説明聞いてたの?」「さっき言ったじゃない!」などの、自尊心を傷つける言葉を言われたことで、「分かったフリをしないと怒られる」という考えを根付かせてしまっている場合が考えられます。
「分かったフリ」の対処法
ご家庭はもとより、学校や放課後等デイサービスなどは「学びの場所」です。せっかく学びに来ているので、どんどん新しいことを吸収していける状態を作ってあげるということが大事です。
親や先生、指導員は「分かったフリしているのかな?」と気付いているのなら「まずはどうしたら内容が理解できるのか?」ということを再考する必要があります。
説明だけではなく質問をする
子どもたちの考えを整理させる時間を意図して作るようにすることが大事です。質問をして、自分の考えを答えることができれば、内容を理解できているということになります。
その答えが曖昧な回答であれば、その内容を補備的に説明してあげると、より思考が深まります。
教える時に「こうややってこうやるんだよ」と順序立てて説明をしたところで、脳の仕組み的に順番通りには伝わりにくい部分があります。
見通しを持たせる意味でも、冒頭の説明で全体像をイメージできるような工夫をしながら説明してあげると、スーっと頭に入りやすいです。
分からないなりに実践してみる
何よりまずは実践をしてみることです。その際、取り組みを始める前に「分からないことがあればすぐに聞いてね!」と伝えることで「分からないことも受け入れてくれる」という気持ちを持たせることが大事です。
実践している中で、子どもの表情や進捗率を大人側が把握し、手間取っている子どもに対し、「どこか分からないところはある?」と問いかけをすると、分からないところを言葉にして伝えようとしてくれます。
その際、大人が分からないところを決めつけ、取り組みを進めてしまうことは絶対に避けてください。分からないことを自分で整理できず、「分からないままでいいんだ…」という思考を根付かせてしまう原因となります。
分からないと言える環境づくり
子どもそれぞれに能力や個性の違いがあります。子どもにとってレベルが高いと思われる場所や取り組みになると、知らないことがばれないように挙動不審になってしまうことがあります。
例えば、能力別にグループ分けを行ったり、余裕があればマンツーマンで指導したりする工夫も必要です。
知らなことも積極的に学びにいく姿勢を持ってもらうために、分からないことは分からないと言い合える環境、要すれば、子どもたちが楽しく学べるような指導を意識してください。
さいごに
いかがでしたか?「分からないフリ」は、自己肯定感の低さが伺える発達障がいの子どもには良くある課題です。
大人側が、子どもの能力を超えるような分からないことを発信し、混乱を起こしてるケースがほとんどなのではないでしょうか?
しかし、新しいことにチャレンジすることは、発達障がい児にとっても非常に大事なこと。混乱を招かない方法でコミュニケーション(質問と回答)や、実践中へのアプローチ、分からないと言える環境を作って、「学びは楽しいもの」という意識を持ってもらうことが重要となってきます。
子どもたちは将来、自分の活躍できる社会へ自立を果たすときがきます。来たる時に分からないことを分からないままにならないよう、人に助けを求めることは悪いことではないのと同様に、肯定的な意識を今のうちから身につけていきましょう。
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