立命館大学・政策科学部卒 卒業後、アパレル企業に就職
父が特別支援学校の校長であったこともあり、児童福祉の道へ進むことを決意
一児の母でありながら、2021年にASTEPを立ち上げ、仕事と子育ての両立を目指し、日々奮闘しています!
ASTEPの理念の1つに『子どもが元気になるには、親が元気でなければならない』このような理念を掲げて、療育支援を行っています。
この記事では、親御さんが元気になれる、また、前向きになれるようなテーマを設定し、メッセージとしてお伝えをしていきます。
今回は『自立=経験』についてです。
穏やかな気持ちで、最後まで読んでいただければ嬉しいです。
自立を見据え、経験を積む
発達に障がい(精神・知的・発達)がある子どもたちは、より多くの事を経験する場がないと、生きる力を身につけていくことが難しいと思っています。
そのため、自立を実現するまでに『どれくらい経験するか?』が、今回のメッセージのキーになります。
しかし現状は、親御さんに余裕(精神的・金銭的)がなかったり、共働きで経験をさせる時間がなかなか取れなかったり、片親の子どもさんならなおさらです。経験をさせてあげられない理由は、ご家庭の事情によって様々です。
なので、親や子ども自身が経験することができにくいため、支援者である私たちが多様な経験ができる場を設定し、日々活動を実践をしています。
我々はそのために存在していると言っても過言ではないですし、様々な体験を通じ、人間力を高め合いながら生活力(総じて自立)を身につけるための施設であることは間違いありません。
ASTEPには、本当に幅広い特性を持つ子どもさんがいらっしゃいます。一見して課題がなさそうなしっかり者の子や、個別でサポートが必要な子、支援の方法や手段が同じということはありません、というかあり得ません。
特性の軽い子どもであれば、経験の幅を広げる機会を増やすこと。今ある情報から自分で選んだり、足りない情報を自分で調べ、解決していく力を身につけていけるような関わりを持つことで経験を積んでいきます。
一方、特性が重い子どもであれば、情報が入りにくく自分から取りに行くことも難しいため、支援者が子どもの特性を踏まえた最適な情報を助言として与え、それを繰り返すことで経験を積んでいきます。
なので、子どもを一括りとして考え、同じ量の情報や経験を提供するということはありません。性格も違いますし特性も違いますからね。
これを一括りにしてしまうと、こだわりを持つ子にとっては混乱を招いてしまいます。
子どもたちに流す情報や経験の場は、これからの人生にとって必要なものを優先するべきですし、そういった経験を徐々に増やすということが必要な配慮であると思っています。
このように、私たち支援者が選りすぐった情報を子どもたちに流すことで、それぞれの特性に応じた経験をしていただくわけですが、その情報には〖生活を豊かにするもの〗と〖生活力をつけるもの〗があります。
生活を豊かにするものというのは、『生きていて楽しい』と思えたり『自分のことが好き』と自己肯定感を持てたりすることです。
そのために、我々支援者は、『毎日の活動が楽しい』『出来た!楽しかった!驚いた!』などのプラスの感情が働く活動機会を設定し、心を豊かに持てる(保つ)ために、日々経験を蓄積する感覚で療育活動を行っています。
一方、生活力をつけるものとしては、『今』ではなく『将来』のためにを考えるものです。支援者や親が将来の子どもの姿をどれだけ深く考えイメージできるかに尽きます。
子どものうちから「こんなスキルがあれば良いな」と、それぞれの子どもたちの成長に合わせて思い浮かべられるかは、支援者の支援力にかかっています。
それは、経験させなければできないことであり、経験させるにしても、本人に関心がなければできませんし、不安に思うような状況では経験にもなりません。どんな活動でも、興味関心を持って取り組む子はそうそういらっしゃいません。
そういう状況で支援者の力が問われます。
『子どもが経験した結果、〇〇ができるようになった』というのは、あくまで結果・成果であって、子ども本人の頑張りや成長力によるものです。
本当の支援力というのは、安心感を持って本人ができることの中で「少しだけやろうかな?」と思えて、結果的に「経験してよかったな」「役に立った」と思えるようなことに結びつけることなのです。
支援力のある支援者というのは、知識や技術だけでは図ることはできないと思っています。子どもに安心感を与え、興味関心を上手く引き出せる言葉を持っていたり、臨機応変な対応ができる者が『できる支援者』です。
支援者が持つ全ての知識やスキルを教え伝える必要はなく、シンプルに「一人でできるようになると居心地が良くなるだろうな」「私がいなくても自由にできるだろうな」と思える程度で良いのです。
これは決して支援者は楽な状態ではなく、そうなれるまでに、あれこれと経験する中で身につくまでは、定期的にその経験をする時間を取らなければならないこともあります。
例えば…排泄で例えると、自分でおしりを拭く。これは支援者がおしりを拭いた方が楽なんですよね。
しかし、その都度時間を取って、本人にやってもらう中で失敗を繰り返しながら、ひとつずつ獲得できるための支援を行います。
排泄後の行動についても同じです。ズボンを履き、流す、手を洗う、複数回に分けてのスキルの獲得になります。
支援者(親)が楽という理由で全てを完結させてしてしまうと、子どもの成長機会を奪っていることになります。
何でもやってあげることが支援ではなく、子どもが将来自立をするためと考えて、出来ることを増やせるよう、様々な経験の場を用意していきたいですね。
例で挙げたのは、排泄というほぼ毎日のことになりますが、日々の集団(個別)の活動においても同じことが言えます。
将来の就労に向けた技術の習得、対人との関わりで変化する感情の体験、感情の処理など、これだけではありませんが、将来を見据えて学ぶべきことはたくさんあります。
それは『経験』をしなければ得ることができない、そう断言できます。
私たち支援者(親)が行うべき事は、経験できる機会を設定し、子ども自身で考えられるようになるために助言を行うことで理解を促したり、成長を見込める支援の手段を考え実行すること。
この積み重ねが『経験値』となって子どもの中で蓄積されることで、多くの引き出しを獲得し、引き出しを開け閉めできる力を身に付けられれば、本人や親御さんが思い描く自立に繋がっていくのではないでしょうか。
さいごに
障がいをもつ親御さんは「自分の子だから!」「私が何とかしないと!」という親としての使命感を強く持っておられる方もいらっしゃると思いますが、そうではありません。
親だけが頑張る必要はないのです。
親が頑張りすぎると、親自身いつか疲れてしまいます。
親が疲れている姿を見た子どもは、何かしらの感情を抱きます。
子どもが”より良く生きる、より強く生きる”ためには、親が元気でなければいけません。
子どもは一人で育てることはできません。
ASTEPのような支援者や、地域のコミュニティを頼ってください。
親だけが頑張る必要はないのですから。
一人で頑張られることなく、一緒に頑張りましょう。
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