こんにちわ!こんばんわ!
6月12日(土)に実施しました「梅狩り体験」、多数のご参加、誠にありがとうございました!
梅狩りの他に、じゃがいもやきゅうりの収穫も体験、周囲の山への探検をしていただきました。
普段のASTEPでの活動とはまた違った顔が見られ、参加した子どもたちに対し、新たに評価できることが多くありました。
今回は、自然体験活動の中の園芸活動についてレポートします!
目次
本活動の意義
ASTEPの自然体験活動や園芸活動は何のためにしているのか教えてください!
自然体験活動は、積極的に友達と関わることで、運動や家庭でのお手伝いを促す効果を見込んで実践しているよ!
子どもたちの現状と、活動の意義を詳しく説明するね!
今の子どもの現状
- 家庭で決められたお手伝いをしている子どもが少なく、生活規律や社会のルールなどについて指導や注意を受けている子どもが少ない。
- 他者に関心を持ったり、困っている友だちの相談にのってあげたりするといった、他者との積極的な関わりが乏しい。
- 自然が豊かな地域に住んでいる子どもでも、都市部の子どもと同じくらい自然体験が希薄
- テレビ・テレビゲームに多くの時間を費やしている。
- 地域社会との関わりやボランティア活動などの実践が希薄
自然体験活動の意義
自然体験活動の意義は広く、様々な側面で効果をもたらす活動ですが、課題解決能力や豊かな人間性など、「生きる力」を身につけることが言えます。
自然の中、他者との交流の中で「わからないことは、そのままにしない」「誰とでも協力してグループ活動ができる」「相手の立場になって考えることができる」ことを狙いとしています。
また、体力をつける点でも大いに効果があります。自然の中で虫を追いかけたり、探検に出かけることで自然と体力が身に付きますよね。
勉強するにも体力が必要です。体力がなければ集中力は持続しませんからね。
子どもたちの評価
非常に多くの評価が得られた活動となりました。目を輝かせながら袋にたくさんの梅の実を摘む子どもたち、じゃがいもをまるでお宝探しのように掘る様子。
また、虫取り網を家から持ってきて友達と貸し借りする光景、山の中に入り一緒になって虫を探す子どもたちなど、普段見られない様子がたくさん見ることができました。
ピックアップして評価をしていきますね!
土日はゲーム中心だった子が…
梅狩り体験を行う以前に、ある子どもとこんなやり取りがありました。
「梅を収穫するんだけど…土曜日なんだけど一緒にやってみない?」
「うーん…土曜日は家の用事があるから行かない。」
「用事があるんだ。なら仕方ないね…用事って何をするの?」
「…。家でお手伝いするの。」
「お手伝いが終わったら何するの?」
「えーっと…ゲームかな。」
少し予想はしていましたが、ズバリ…ゲームでした。
お母さんにもご協力いただきましたが、やはり意思は変わらず…諦めかけていたとき、お母さんから連絡がきました!
参加する旨のご連絡でした!!
それだけでも本当にすごいことです。
動機はどうであれ、意思を変え行動することを決めてくれたんです!
連絡を受け、嬉しくてスタッフへ「〇〇くん参加するよ!」とすぐ連絡すると、スタッフもすごくビックリした様子で喜んでくれました!
当日の〇〇君はというと、もう彼の独壇場でした(笑)事業所間交流も兼ねて実施していたのですが、初めて会う子にもアプローチの嵐でした。自分から声をかけることに何の抵抗もなく、彼の存在と雰囲気が場を和ましてくれる場面が随所で見られました。
最後に「また来たい人ー?」と全員に聞くと〇〇君も元気良く「はーい!!」と言ってくれていました。
ゲームは決して悪いものではありませんが、普段知りえない人との交流や自然の中での新しい発見は、ゲームでは体験できないことです。様々な体験を経験値として蓄積し、彼の強みである人間性を磨いていってもらいたいですね。
長時間の活動ができるようになった
ASTEPに通い出した頃の彼は、家の近くを通ると「アッチ」と言って帰る意思を示す様子が多く散見されていました。
帰りたくて外に出ようとドアを開けようとしたり、軽度の自傷行為も見られたほどです。
今回の梅狩り体験の時間は送迎の時間を含むと9時~17時でいつもとは違い長時間の活動となります。
気温も高く、体力面でも心配はしていたのですが…この日の〇〇君は積極性が見られたんです。
「アッチ」と言ってお気に入りの職員の手を引いていきます。畑とは違う方向を指すので「散歩したいの?」と聞くと「ウン」と答えてくれました!
往復20分程度でしたが、グイグイ職員を引っ張って散歩を楽しんでくれました。道中、きれいな花を見つけ一緒に見入る場面も。虫を見つけると「イヤ」と言って意思表示もしてくれています。
梅狩りも参加してくれたり、畑の横にあるブランコをみんなで楽しんだり…有意義な時間を過ごせたのではないかと思います。
もっと多くの経験をすることで、感情が安定し、取り組みへの姿勢も向上するものだと考えています。
〇〇君の心の安定は、ご家庭や学校での支援の賜物であり私たちだけの支援ではないものです。これからも〇〇君のペースで成長を見ていきたいですね!
虫取りを先導する子
お迎えに行くと虫取り網を持って準備万全の子がいました。
梅狩りにも当然参加し、一生懸命高いところに登って摘んでくれたりしています。
梅狩りが終わり、昼食タイム!虫取りがしたくてウズウズしているんでしょう、急いで食べています!
みんな昼食を食べ終えると〇〇君が先導し「虫、探しに行く人ー?」とみんなに発信・提案をしてくれました。
ひとり、ふたりと増え、挙句の果てに、他事業所の子どもも巻き込んで、みんなで虫を追いかけています。
普通のこと?いえ、すごいことなんですよ!具体的に何がすごいのかというと…
- 相手に伝わりやすい言葉でシンプルに伝えてられていること。
- 堂々と自分のしたいことを発信していること。
- 「虫取り」が好きなことをみんなが知っているうえでの行動していること
- 周囲の意見も取り入れたこと。(何の虫を捕まえるかを周りに聞く)
ただ、自分本意に意見を言うのではなく、周りの人に「伝わるように」発信する力が自然と身に付いているように思えました。
たまたまなのかもしれませんが、日々の活動でもその片鱗は随所に見ています。(このような場合は?こうした方がいい…など)
こういった経験を積み重ねることで「伝える力」から「伝わる力」に変わっていきます。
これから本当に伸ばしていきたい部分だと確信が持てましたね!
収穫した梅をお持ち帰りいただき「梅シロップ作り」のお手伝いするご様子の写真を保護者からいただきました!
話をいつも以上に聞けた子
畑で栽培している野菜の説明をしているとき、ある男の子を注目して見てみると、しっかり話を聞いています。
時々うなずいたり、合いの手を入れたり…ASTEPでも話は聞ける方の子ですが、30℃を超える猛暑日であった中、集中力を途切らすことなく話を聞く姿勢ができています。
大人でも集中力が切れてしまいそうな環境の中、数ある野菜の説明をしっかり聞けていることに対し、正直びっくりしました。
話を聞く姿勢や態度が向上すると、以下のような能力も相対的に伸びることが考えられます。
- 話す力
「聞く力」は「話す力」の元になり、豊かな言葉を使いこなせるようになる。 - コミュニケーション能力
相手の話を集中して聞き、相手の伝えたいことを少しでも理解できれば、会話を続ける力が身に付く。 - 想像力・共感力
話に耳を傾け、理解しようとすることで、相手の気持ちを推しはかろうとする想像力や共感力が鍛えられる。 - 集中力
傾聴する力を鍛えることで、話を聞きながら情報を頭で処理する集中力も伸びる。 - 学力向上
話をよく聞いて内容を理解し、自分のものにしようとする姿勢を身に着けられれば、自然と学力も向上する。
これらの能力において、いくつか成長の兆候があるのも事実です。
また、活動全般において積極的に参加をしてぅれています。
良い部分を見極めて、更に向上していきたいですね!
なんでも前向きな女の子
唯一、女性の参加者である小学1年生の子ですが、今日の〇〇ちゃんはとにかく「前向き」でした!
普段のASTEPの活動では、そつなく何でもこなすタイプで、運動がとても得意です。運動系プログラムでは見本としてみんなの前に立って見せてくれるのですが恥ずかしがる場面もあったり…。
この日の〇〇ちゃんは、梅狩りの概要説明が終わると、すぐに走り出し一番に取りかかり、一番多くの量を収穫してくれました。
〇〇ちゃんの良いところは、どんなことにも臆することなく挑戦する前向き姿勢であり、大人である私たちも見習うべきものがあると、いつも思わせてくれます。
大人になるとなにか新しいことをするときに「できるかな?」とか「失敗するかも…」という不安が先に立ち、なかなか挑戦することができなくなってしまいがちですが、彼女にはそんな気持ちはありません。
その前向きな気持ちが周りの子に派生して、真似する子が出てきたり…良い影響力を与えてくれています。
また、自閉症の子で自傷(軽度)を繰り返す子どもに対し、頭を撫でて落ち着くよう促す場面が初めて見られたり、未就学の小さな子を連れて近くにあるブランコへ遊びに連れていってくれたりする場面も見られました。
命ある者同士、年齢や学年は関係なく、同じ目線で思いやれる気持ちを持てるようになってきているものと思えます。
彼女の世界観を広げるためのきっかけを作ることが私たちASTEPの仕事です。
新たな良い部分を発見したので、更に意識できるような働きかけをしていきたいですね。
まとめ
ここでの評価は一部の子どもを書かせていただきましたが、全員の子どもたちに良い面がたくさん見られました。
これらの評価でお分かりかと思いますが、ASTEPの取り組みの趣旨は、活動そのものではなく、人との関わり合いの中で生まれる「気持ちの成長」にあります。
活動が上手くいったか上手くいかなかったかの分かれ目は、子どもたちの気持ちの変化が生じたか否かにあります。
極端に言ってしまえば、気持ちの成長が見られれば、活動そのものが不達成でもいいと思っているくらいです。
それぞれの子どもたちで得意なことや課題があります。
得意なことというのは更に向上する余地があり、本人の得意分野でもあるのでこちらのアプローチ次第で成長を見込めます。
しかし課題となると苦手なことをできるようにするのですから、それは至極困難なことも多くあると思います。(私はグリーンピースが大嫌いで食べなさいと言われても克服することはできないのと同じです。)
課題を克服できればそれはそれで良い事ですが、何より大事なことは「ヘルプを出せること」だと思っています。
自分がヘルプを出し、友達に助けてもらうためには信頼関係が重要になってきます。
信頼関係はどのように生まれるのか。それは、普段の人との関わり合いの中で形成されます。
人との関わり合いの方法を身につけながら、昨日の自分の気持ちより今日の自分の気持ちが成長したという実感、実感した気持ちのアップデートが毎日起きると…
将来、きっと自立した人間へと成長されています。
ヘルプを出すことは恥ずかしいことじゃない…というのは是非子どもたちに知ってもらいたい部分です。
私自身、個でできることは本当にごくわずかで、ASTEPのスタッフに支えてくれているからこそ、これまで私が思い描いていた支援ができています。
私は、一人では何もできないし、助けてもらわないと生きていけない自信があることを深く自覚しています。
新型コロナウイルスの感染拡大から新たな「ニューノーマル」時代が始まって早くも1年が経とうとしています。
日々変わる状況に応じて新しい「常識」や「マナー」が生まれたり、人との付き合い方、家族との向き合い方、学校での過ごし方などにさまざまな変化が見られます。
時代のニーズと合致した支援を引き続き検討しながら、子どもたちへ少しずつ伝えていければと思います。
多数のご参加、誠にありがとうございました!