立命館大学・政策科学部卒 卒業後、アパレル企業に就職
父が特別支援学校の校長であったこともあり、児童福祉の道へ進むことを決意
一児の母でありながら、2021年にASTEPを立ち上げ、仕事と子育ての両立を目指し、日々奮闘しています!
今回は発達に特性を持つ子どもさんの『うそ』についてブログを綴っていきたいと思います。
子どもだからといって『純粋』と思われている方も多くいらっしゃるかと思いますが、果たしてそうなのか?というと、毎日彼らと一緒に関わっている私としては、一概にそうは言えない場面が正直なところあります。
そもそも純粋って何をもって純粋なんだろう…と思うところあります。「子ども=純粋」というイメージがあるのかもしれませんね。
ASTEPでも、日々様々な特性をもった子どもさんと関わりをさせていただいている中で『うそ』という場面に遭遇することは少なくありません。
そこで、子どもの『うそ』の背景や理由をお伝えし、『うそ』に遭遇した時にどのような心持ちで対応していけばいいのか?についてお伝えしていきたいと思います。
目次
『うそ』の背景を考える
ASTEPには小学校~高校生まで幅広い年代の子たちがご利用されています。
子どもたちの学齢や特性も様々ですが、知的力や認知力とは別に、今まで生きてきた『人生の経験』を得られてきていますよね。
その経験は、良い経験もあれば悪い経験もあります。
その中には、何不自由なく暮らしてきた子どもさんもいれば、厳しい環境で我慢を強いられながら暮らしてこられた子どもさんもいらっしゃるかと思います。
自分はこうしたいのに、親に厳しく制限されて自分の思うことができない、ということもある種、子どもさんにとってみれば厳しい環境と言えるのかもしれません。
また、ASTEPではいつもニコニコで、何の悩みもない様子に見える一方、相談支援の中でモニタリングをすると、様子からは伺えないほどの辛い経験をしている子どもさんもいらっしゃいます。
そういった子どもさんの能力とは別に、人生という経験をする中で「こんな時はどうやって回避しようか?」と実践し、身につけている子どもも実際にいらっしゃいます。
そうせざるを得なかったということかもしれませんし、こうやれば上手くいくと経験の中で得た知恵なのかもしれません。
ですので、心持ちとして『子ども=純粋』と強く思い込まないことは必要なことなのではないかと感じます。
『うちの子は大丈夫』という思いを持たれている親御さんは、一歩引いた目で子どもさんの人生経験(背景)を捉えてみてください。
『うそ』には理由がある
子どもがすること(行動)には、全て理由があります。
ASTEPでの療育活動の中でよく子どもたちを観察してみると、悪いことをしているというイメージよりも、正しいことをしている、と感じる場面もあります。
どんな行動・言動をするにしても、理由がない人はいません。
私たち支援者や親御さんは、その行動の意味を知る努力を行い、行動の表面だけを見て指摘するだけでは不十分だと知ることです。
うそをつくにはうそをつく理由が子どもなりにあったりします。
それを表面だけで考え、純粋じゃない行動だからと怒っても意味はありませんし、純粋じゃないから怒るというのは、子どものために指摘しているのではなく『子どもにうそをつかれた』と思い込んだ自分のためなのではないでしょうか?
『うそは良くない』と薄っすらでも理解しているにしても、子どもの様々な人生の中で、こうした方が良いという思考にさせているのは、これまでの経験がそうさせるわけです。
うそを指摘された時は、「ごめんなさい、もううそは言いません」などと言ってくるかもしれませんが、謝ることは解決することではないのです。
うそをついたことで、支援者(親)が被害を受けているのではなく、子ども自身が被害を受けているため、謝ることだけで解決したとはいえません。
ですので、ASTEPで『うそ』があったときに、謝ることができた場合「謝まれたね!謝れてえらいね!」と言う言葉掛けをすることはありません。
『うそをついて謝れば認めて(褒めて)もらえる』という実感を与えてはいけないからです。
『うそ』に遭遇したら?
子どもたちも、言葉にできない経験をこれまでたくさんしてきていることを理解しています。
ですので、私たち支援者や親は、うそをつかれたくらいで腹を立てずに、広い視野でその事実を見てあげること。
そして、背景を見ることを試み、表面に出てこない理由を感じ取り、『うそ』という表現ではなく、本心を表出させることができるような関係性になれるための努力を、私たち支援者がすることです。
指摘先を間違えず、うそをついた子どもが悪者だ!など悪のレッテルを張るようなことはせず、うそがばれてよかったと思ってもらえるような関わりを目指しています。
『うそをつくのが好き!』という子どもさんを見たことはありませんよね?
どんな子どもさんでも、進んでうそをつくわけではありません。
うそをつくには、うそをつくなりの理由があるわけですから、そこに支援者として、するべきことが詰まっているはずです。
言い換えると、うそをつく=SOSの現れともとれます。
うそをついてしまう困っている子どもを、『うそ=悪』という常識に捉われず、うそも含めて丸ごと受け入れることです。
何に困っているのか?そんな視点を持ちながら、子どもの特性、気質等を踏まえた言葉掛けや模倣により、これからの人生うそをつかなくて済むような対応を検討してみてください。
さいごに
うそには背景や理由があることをお伝えし、支援者や親御さんの対応(考え方)を中心にお伝えしてきました。
ASTEPでも「子どものうそについて」のご相談をお受けする際、具体的なアドバイスをさせていただいております。
学齢・特性・気質などでその具体的な方法については違ってきますのでここでお話するのは差し控えさせてもらいます。
うそは必ずしも『悪』ではありません。
その1つのうそが子どもからのSOSだと感じ取ることができれば、自ずとうそへの具体的な対応ができてくるのではないでしょうか!
何より、穏やかな心でありのままの子どもさんを受け入れてあげてください!
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