大学では社会福祉学部に在籍、福祉心理を専攻し、某アパレルメーカーに就職
前職は公務員として11年間勤務し、1000人規模の職場で心理カウンセラーとして様々なお悩みを聞き、解決に尽力してきました。
どうも、こんにちは!こんばんは!みなぐちだいすけです★
全国の放課後等デイサービス事業所では、子どもたちの個別支援計画に基づき、それぞれのニーズに合わせた支援に奮闘されていることでしょう。
そして、様々なサービス(活動機会)を提供し、その活動に参加していただくために、指導員の方は日々努力されているものと思います。
今回の議題は『~してくれない』子どもさんへの支援についてです。例えば…
- 活動に参加してくれない。
- 指導員の言うことを聞いてくれない。
- 「うん!」と素直に受け入れてくれない。
- 誰とも一緒にいてくれない。
おそらくどこの事業所でも一度は悩まれたことがあるのではないでしょうか?
そこで質問です!
放課後等デイサービスの指導員の方や親御さんも含め、『~してくれない』子どもさんに対し、どういった『視点』で関わられていますか?
ASTEPでもこういった『~してくれない』子どもさんはいらっしゃいますが、悩んでいるかというと一切悩んでません。
それは、ある視点を持つことが大事になってきます。もしも悩んでおられる方がいらっしゃれば、そのお悩みが解消できるかもしれません。
今回は『~してくれない』子どもさんと関わる上での視点や、ASTEPでの実際の関わりについてご紹介していきたいと思います。
目次
持つべき視点
冒頭でもお伝えしましたが『~してくれない』子どもさんは、指導員から見たときに問題と感じ、様々な工夫をし『~してくれた』にする場合もありますし、『~してくれない』ことで、その子どもさん悪者になる場合も考えられます。
こんな時、事業所側は、自分たちが作ったプログラムやルーティンを重視する傾向にあるのではないでしょうか?
例えば、ASTEPでは、おやつは16時から食べるのがタイムスケジュール上の基本としていますが、16時に場所に来てくれない子どもさんは問題となります。
なので、16時からみんなと一緒におやつを食べる人になってもらうようにと関わるわけです。
このような関わりをしている指導員は、間違っている支援の状況だと気付かずに、良かれと思ってやっていることだと思います。
こういった状況で私はこのような疑問を感じます。
16時までに食べて、おやつ以降の活動に参加できれば良いはずなのに、16時にみんなで一斉に食べ始めなければならない理由は特に見当たりません。
16時に一斉に食べることのできる子どもが善、16時に場所に集まることのできない子どもは悪、という風潮がどこかにありませんか?
デイサービス事業所だけではなく学校現場にもそのような風潮があるものだと感じております。
「~してくれない」には、集団行動を良しとする論理が働いて、集団と同じことをしてくれる子どもが良しとされる傾向があるのではないでしょうか?
先ほどの例えで言えば、16時から食べない理由がどこかにあるのに、その部分には見向きもせず、16時におやつを食べるように仕向けているわけです。
このおかしさに気づかない指導員は、案外多いのではないでしょうか?管理者が理解できていないと指導員は気づくはずもなく、どんどんエスカレートしていきます。
『~してくれない』子どもさんの理由を行動背景を含めきっちり確かめれば、きっと指導員も納得するはずです。
その子どもの想いや意思によって主人公となれる。
私は、こう思いながら支援をしていくべきだと考えています。
無理に集団に合わせたり、指導員の『常識』に合わせることが、どんなに子どもたちを不幸にしているのか?
子どものためを思ってしている支援やその関わりが、子どもの想いや意思に反し、人権の侵害になってることを…
視点を変えてみてください。それも支援を行う者としての必要な能力の一つです。
「この関わりは本当に支援になっているのか?」と、自分自身の行動や言動を振り返ることを、常々考えて行ってもらいたいです。
関わりという言葉の意味の中には、〖支援という関わり〗と〖単なる関わり〗があります。
障がいを持つ子どもさんを育てておられる親御さんには、この2つの関わりがありますが、放課後という短く限られた時間を過ごす指導員には〖支援という関わり〗を考えてできることが必須なのです。
子どもたちは、私たち指導員のしている関わりに「その関わりいやだ!」とは言ってきません。我慢をしているのは私たちではなく子どもさんです。
ASTEPでの関わり
ASTEPでも、自閉傾向の強い子どもさんや、自己肯定感の低さから集団の場を共有することが難しい子どもさんがいらっしゃいます。
私たちが行っているひとつの関わりとして、発達障がいの子どもさんと関わるための基本となる関わり『見通しを持たせる』ことを忠実に行っています。
ただ、この見通しを持たせるというテクニックが簡単なようで難しいのです。
見通しを持ってもらうための言葉掛けを行う上で『背景を捉える』という作業を行います。これが難しいのです。
見通しを持たせる言葉掛けの前には、その日の子どもさんの表情や様子の観察、親御さんからの事前の情報共有や、可能な限り放課後前の学校で気になる様子はなかったか等を担任の先生と情報共有を行う必要があります。(ASTEPは特にこの点を力を入れています。)
そういった背景から汲み取った上で、子どもさん自身に言葉を掛けていきます。
言葉選びも気をつけなければなりません。例えで挙げたおやつの事例でいうと、これだけ言い方が考えられます。
- おやつ食べよっか?
- おやつ食べる?
- おやつ食べれる?
- 〇時になったらおやつ食べようか?
- 誰とおやつ食べたい?
- 私と一緒におやつ食べない?
おやつの関わりだけでもこれだけの言い方があり、背景を整理した上で、その時に一番適している言い方をするようにしています。
そこで無視をされたり「いや!」と言われたりすることなどざらにあります。その場面で臨機応変に対応できるか?それはその子どもさんの想いや意思を引き出す形で問答していきます。
おやつを16時に食べなければいけないなんて決まりはASTEPには一切ありません。
宿題を何とか時間に終わらせたい子どもさんには、おやつを持り帰りしてもらう対応をしていますし、一人で食べたいという子どもさんには、別にテーブルを用意したりしています。
それは決して集団からはみだしているわけではありませんし、支援を怠っているわけでもありません。
こういった時間を過ごすことで、意思を尊重された子どもは「意見を受け入れてくれた」と思えるわけですし、その間、子どもさんを観察できることで、集団への意識を促すための適する関わりのヒントを得られたりするきっかけにもなります。
こういった言葉掛けを行い、それでも「~したくない」と意思を示してくれる子どもさんは、無理強いすることはしません。なぜなら主人公は子どもさん、子どもさん自身が「しない!」と、自己選択・自己決定してくれたのですから。
私なら、最後は「~なんだね!教えてくれてありがとう!」と、意思を示してくれた子どもさんに感謝を伝えますね。『想いを引き出せることができた』と、良い評価ができます。
さいごに
私は、サービスとして提供している活動の中で、個々の子どもさんに伝えるべきことを厳選して、直接的、もしくは間接的にお伝えしています。
伝える中で得られる子どもさんからのリアクションの中には、新たな発見を見せてくれたり、逆に子どもさんから教えられることも多々あります。
『~してくれない』という子どもさんには、私たち支援者が気付くべきことを教えてくれているのだと思っています。
そんな気付きをくれた子どもさんに感謝しつつ、子どもさん一人ひとりが主人公となれるような支援を考え、今後も実践していきたいと思います!
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