この記事では私が思う放デイ利用における「現実と闇」について迫ります!是非最後までお付き合いください!
こんな蒸し暑い日にすみません…アツく語らせてもらいますよ!!!
こんにちわ!管理者兼児童発達支援管理責任者のみなぐちゆきよです。
題名のとおり、今日は「放デイ利用の現実と闇」について、私の実体験をもって迫っていきます。
その現実と闇とは「利用枠が空いているのにも関わらず拒否される子ども」が多くいらっしゃることについてです。
私からすると「それが現実なのか」と落胆する一方「業界の闇」に正直に憤りを感じています。その上で、ASTEPのスタンス(方針)についてもお伝えをしていきます。
目次
放課後等デイサービスの役割
放デイ利用の現実と闇に迫る前に、そもそも我々、障害児通所支援事業を行う側の役割についてお伝えをしたいと思います。ご紹介する「闇」については放デイの役割に沿ってご紹介をしていきます。
以下、厚生労働省から正式に通達されているガイドラインから、放課後等デイサービスの基本的役割を3つ抜粋しました。
①障害児の最善の利益を保証するために存在する。
放課後等デイサービスは、支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と健全な育成を図るものである。
参照元 : 厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」
②共生社会の実現に向けた後方支援
放課後等デイサービスの提供に当たっては、子どもの地域社会への参加・包容(インクルージョン)を進めるため、他の子どもも含めた集団の中での育ちをできるだけ保障する視点が求められるものである。
参照元 : 厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」
③保護者支援
放課後等デイサービスは、保護者が障害のある子どもを育てることを社会的に支援する側面もあるが、より具体的には、保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うものである。
参照元 : 厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」
放デイ利用の現実と闇
ブログを読んでいただいている近隣にお住まいの保護者さんをはじめ、他府県の保護者さんからのお問合わせもありました。ご相談の中で「利用したくてもできない」というお子さまや保護者が数多くおられるということをお伝えしたく思います。
保護者の方々と、お電話やメールでのやり取りの中で、その背景についてお聞きすると辛辣な思いで、以下のような理由を仰られました。
- 利用枠を確認したのち、子どもの特性(自傷行為)を話した途端に断られた。
- 前に通っていた放デイでいざこざがあって、その理由を聞かれ正直に答えると「ウチでは厳しい」と拒否された。
- 重身の放デイから一般の放デイに移ろうと問い合わせをしたが「重心(重症心身障害児の略)はやってません」と他の事業所に取り次ぐことすらしてもらえなかった。
- ADHDの特性が強い子どもに対し「座る事が難しいですか?」と聞かれ「はい」と答えると、それだけの情報だけで「グレーゾーンの子しか取らない」と断じられた。
残念ですが、これが放課後等デイサービス事業者の現状です。
もちろん、全ての事業者がそう!というわけではありません。ASTEPが今年2月に始動してまだ半年も経たずして、落胆した胸の内を数多くお聞かせいただきました。
これらの対応が「闇」と呼ばせてもらっていますが、放デイの役割①「子どもの最善の利益」、放デイの役割②「共生社会の実現に向けた後方支援」、これらを保障する存在となれているのか?放デイの役割③「保護者支援」の役割を理解をして対応しているのか?
そもそも事業者は何を目的に障害児通所支援事業を行っているのか…というところに行き着かざるを得ません。
ASTEPの理念と方針
これらの現実と闇を踏まえて、ASTEPではどのような方針で運営しているのか?放デイの役割に沿ってお伝えします。
①子どもの最善の利益を保証
課題のある子どもたちに対し療育支援を行う上で、「子どもの最善の利益」一番に考えられなければならないことは言うまでもありません。
保護者や地域、国の制度うんぬんではなく、何を考える上でもまずは子どものことを考えろ!と声を大にして言いたいです。
私が解釈する子どもの最善の利益とは、「子どもたちが、身も心も健やかに育つことのできる環境の中で、取り巻く人々に充分に愛されながら、自分自身でいることを認められ、豊かに暮らすことができること」です。
したがって、ASTEPではどんな特性があろうとも、保護者の悩みに耳を傾け、利用できる方法を模索する心構えをもって運営しています。
仮に、自傷や他傷の特性のあるお子さまがご利用されても、私たちは子どもたちの安全を守り抜ける体制をもって、全力で支援をさせていただきます。
また、特性の強いお子さまをお受入れできるよう、強度高度障害支援者研修修了者も多数在籍しています。
事業所のために子どもが利用するのではなく、子どものために事業所を利用してもらうことが本質ではないでしょうか。
②共生社会の実現に向けた後方支援
①でも説明しましたが、ASTEPでは様々な特性(重い特性も含む)を持つ子どもが利用されており、そういった集団ができることは意味があるものだと考えています。
はっきり言うと、グレーゾーンの子どもばかりの子どもを集めると事業所は楽できます。職員の人数も基準さえ満たしていれば少数で対応できるので、人件費の削減にもなりますからね。
グレーゾーンと呼ばれるいわゆる軽度の発達障がいの子どもは、将来自立し、やがて就労するときがやってきます。社会に出ると必ず「多様性」が求められます。働き方や人付き合いなど、場面に応じた多様性を求められてきますが、様々な人が持つ個性や特性を青年になるまでの間に経験をすることで、他者とは違った「共存意識」が身に付きます。重い障がいをもつ人への関わり方、自分より弱い人を助けること、人との距離感を図れることなど、人の個性・特性への手段や理解が深まります。
また、重い特性を持つ者は、多様性を理解できる友達の優しさに触れ、多くの経験の中で幸福感を感じ、心の安定を図れるものだと考えています。
事業所という小さな社会で「多様性」を育む環境を整えることも療育支援において大事なことではないでしょうか。
③保護者支援
「子どもの最善の利益」の次に、私たち放デイの事業者が考えなければいけないことが「保護者支援」です。
様々な支援の方法はあるかと思いますが、ASTEPでは「保護者が元気でなければ、子どもも元気になれない」という考えのもと、様々な支援を行っています。
保護者支援については、大きく3つに区分することができます。
・就労している家族を支えること
・家族のレスパイト(休息)の保障
この中で、「就労している家族を支えること」に関しては、本来の放課後等デイサービスの提供目的ではないと考えられています。
国(行政)の考えは、就労するために放課後等デイサービスを使うのは良しとせず、その場合は地域生活支援事業である日中一時支援を使うような指導がなされている地域もあります。
しかしながら、結果的に家庭のニーズである預かりや保護者の就労の機会を満たしている場合があり得るということです。
私個人の見解ですが、必ずしもそれは悪いことではなく、ご家庭にとっては真のニーズと言えます。どんなニーズであっても(法律や運営規程に反することは除く)気持ちよく対応できる状況が望ましいと思います。預かりでも、レスパイトでも、保護者の就労のためだっていいと思います。
ただ、子どもへの興味だけは失ってほしくないと思っています。ASTEPで友達との関わりを持って活動を頑張っていることに対し興味を持ってもらうこと。興味を持ってもらえるよう支援することがASTEPの保護者支援で大事していることです。
障がいを持つ保護者は、他の保護者と比べ、少なからず心身に負担を感じられていることから、居場所としての預かりを放デイに求めるのは自然です。
ASTEPにしかできない療育を提供することに間違いはありませんが、療育を盾に、家族が抱える本当のニーズを排除しないようにしていきたいです。
そして、目的がレスパイトであっても、保護者が案じることなく利用できる環境が望ましいです。それが、福祉事業なんです。
さいごに
私見ばかりを書かせてもらいましたが、これが私の、ASTEPの本音です。
事業所側が子どもを選んでいるようでは児童福祉業界の進歩は見込めません。
特に、放課後等デイサービスというのは、地域の範囲が決まっていて地域に根付いた事業であることは間違いありません。
子どもたちが、大人たちの言いなりになり振り回されることで、成長の機会を失することはしてはあってはなりません。また、平等に一人の人として考えられるべきであり、事業所の都合にはめるようなことは決してあってはなりません。
利用を希望する子どもや保護者は、一人ひとりの感性や個性を活かしたその子に合った療育をされるのが望ましいのです。これこそ「子どもの最善の利益」であると私は思います。
実際に起こっている現実に対し、必要としてくれている子ども・保護者のニーズに少しでも応えられるよう、幅をもった事業所が増えることを願うとともに、私自身も戒めながら問題に向き合っていきたいです。
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