ASTEPのブログをご覧のみなさま、こんにちは!こんばんは!
京都府向日市の放課後等デイサービスASTEP(アステップ)の、みなぐちゆきよです。
さて、今回は”ASTEPの療育支援において最も大切にしている10ヶ条”というテーマで的を絞り、項目ごとにお伝えをしていきたいと思います。
そして、「ASTEPの支援のイメージ」を持っていただきたいと思います。
現在、事業所を検討をしている方をはじめ、障がいをもつ子どもと関わる指導員の方、事業者さんや事業所の管理者さんであれば、こんな視点で見ると事業所の改善になるかも…など、参考になる部分もあるかと思いますので、幅広い方に見ていただければと思います。
少し長くなりますが、最後までお付き合いください!
目次
① 子ども主体
子ども主体と聞くと「子どもの自主性を尊重し、子どもたちで何でも決めて活動を行います!」というところでしょうか。子どもたちの自主性や自立力を伸ばしてくれる…と、納得してしまう方もいるかもしれません。
でも、本質を考えるとちょっと違う気がします。
障がいの特性というのは千差万別、同じ性格の子は1人としていません。そんな子どもたちが10人程度の小集団を形成して、自主性に任せて物事を決めてしまうと何が起こるのか…お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、強い子の意見が通ってしまうのです。
そこで大人が介入すると、結局大人が決めてしまうという本末転倒な事態に陥ります。発語がない子は意見すら言えず、時間の流れるままとなってしまいます。
ある程度の枠組み(活動)は、その日の利用者の特性や性格を評価し、大人側で決めてしまって、それぞれの子の発達段階に応じた活動を提供することが必要なことだと思っています。
そこから現実味のある自主性が生まれ、伸長を見込むことができます。
発語がない子に、「今から討論会をします!」と言ったところで何の療育効果も見込めません。討論会をしたいのなら、発語で行うのではなく絵カードを使ったコミュニケーションを用いて行えるはずです。
次に、子ども主体の捉え方を変えると、「子どもが〇〇で困ってます」という声をよく聞きます。
何とか子どもの今やっている困った動きを改善したいという視点になります。でも、子どもがそういう動きになるのは、子ども自身が困っているからです。
誰が困っているのか、この問題の主人公にするべきは子ども自身であり、指導員の支援方法や関わり方の変え、方向性を一致させることが必要です。
② 強みを評価し役割を与える
子どものできること、こだわりを持っている箇所に目を向けます。できることやこだわりは、子どもの役割になります。
机の上が散乱している状態が気になる…そのような傾向のある子は、机を整理整頓する役割を任せることができます。また、人前で話すことが得意な子は、活動の進行役(司会)を任せたりすることができます。
子どもそれぞれに必ず強みは存在し、その部分を見抜く能力が指導員には必要です。そして児童発達支援管理責任者は、その強みを評価し子どもの能力やその場の様子を活かした役割を付与する配慮が必要です。
障がいを持つ者のこだわりというのは、社会的に負のイメージを持つ方がいらっしゃいますが、こだわりに問題を感じるのではなく、そのこだわりが子どもの強みであることを念頭に置くことが大事です。
③ 声掛けと言葉掛けの使い分け
声掛けというのは、単純に「声」だけであり「音」と感じるのが子どもでしょう。実際に、声を使った音で行動を促したり、気付きを与える場面もあります。
声掛けを行ったうえで、意味のある言葉や説明する行為、これが”言葉掛け”です。
〇 何のために言葉を発し、子どもに伝えていこうとするのか?
〇 どんなことを考えたり、どうすれば過ごしやすくなるのか?
という視点を持った言葉掛けが大事になってきます。意味ある言葉を伝えていくことを意識しています。
④ 自立心と好奇心
ASTEPの事業所の理念は”社会自立へ向けた成長の一助となる”を掲げています。
この中の「自立」という言葉は、福祉的支援の目的そのものなのです。
自立の目的を達成するためには、基本的に「できることの範囲内で行う」ことが大切だと思っています。
無理難題を与えて自立心を削ぐような活動内容はあまり良くないです。達成できないことをやると辛さが増したり、自立度が低くなったりします。逆に、できることをさせないことで、成長力を助長することができず、障がいが重くなることもあります。
支援というのは、できることは更に自信を持って行えるようになること、また、できないことは、その箇所に目を向け、できるようになるために工夫したり、SOSを出せるようになれることに繫げることです。
ASTEPでは、「できる範囲内で行う」ことを前提として考えた支援を行っていますが、目標の設定は、指導員の意見を結集して十分に検討をしています。
目標が甘すぎてもだめ、厳しすぎてもだめ…目標設定の理想は「できる範囲(持っている力)の少し上の目標を設定する」ことです。
子どもの力(できる範囲)が、10だとすると、少し上の12を目標として設定します。この目標が高すぎると子ども自身も頑張り方が分からず、結果、挫折感を感じてしまいます。
10を超えて12まではいかない範囲に子どもが到達した時、もう少し頑張れば12に到達する時に、次の13の目標を活動の中で見つけてあげるイメージです。
これは、聞いたことがあるかもしれませんが”スモールステップ”という手法です。
目標を継続すること、いわゆる目標と目標の間隙を少なくする工夫は、支援を行う側のテクニックを要します。
できることの範囲を広げながら向上していける支援、好奇心をくすぐる支援ができるよう活動を厳選しています。
⑤ 事前準備が9割
事が起きてから関わるのではなく、その子どもの「問題」がなくなるように事前準備に目を向ける。それも支援です。
事前準備が不備の状態だと、常に問題や課題が起きてからの対応となり、それを契機に新たな問題や課題が出てきます。
子どもにとって、どんなことをすればASTEPで過ごしやすくなるか?を考え、事前に手立てをすること…これが、事前にするべき支援です。
事例を紹介すると、送迎の際、相容れない子ども同士が同乗する場合、2台配車し、分かれて移動することで気持ちも安定した状態でASTEPに来ることができます。
「問題」が何か?という部分がわかっている場合は、それを取り除いたり、通過の仕方を本人やご家族と確認することで「問題がない状態」や「問題が軽減されている状態」を作り出すイメージを持って事前準備を行っています。
⑥ 分からないが大前提
これは、できない子どもに対し「何でできないの?」と子どもの能力を否定をしないことです。
九九が分からない子に、九九の問題を出して「何でできないの?」と言われた時の子どもの気持ちは…想像できますよね。
何事も知らなければできません。知ればできることはたくさんあります!
事例を紹介すると、目に入る本やおもちゃをとっかえひっかえに漁り散らかしていた子ども、稀に高い集中力を見せる様子があったため、着座してできる遊びを考えLaQを渡したところ、その能力は徐々に開花し始め、私たち指導員でも作ることが出来ない作品を自身の創造力だけで作り上げ、その間の集中力は指導員が介入できないほどの熱意を感じるほどです。
これはたった1つのきっかけでLaQという存在を知ることができたからです。
知れば、できることにつながることもたくさんあります。
知らなくてやっていない子どもに対して否定するのではなく、私たちが知っていることを、子どもたちに知らせ伝えていくことが、私たち指導員の役割です。
⑦ 言葉でのコミュニケーション
指導員から子どもに話しかけること…これはよくある場面だと思います。
でも話しかける=支援ではありませんし、そこを勘違いしてはいけません。
毎日子どものそばに駆け寄り「学校は楽しかった?」と聞くのは、みんなそうであるように良い日もあり悪い日もあるので、それはただのお節介になってしまいます。
良いことがあれば子どもから話しかけてきてくれるものです。その相手の言葉を「待つ」というのもコミュニケーションで必要な要素なのです。
また、指導員から子どもに対し質問をした場面で、子どもが考えている時間こそコミュニケーション力を身につけるために思考している時間です。
その時間は何分だって待ちます!
質問をして答えを得ようとする指導員が主人公ではなく、質問に対したくさん考えて答えてくれる子どもが主人公であり、むやみに話しかけすぎずに相手から話してくることを待つこと。
そういう関わりの割合を増やしています。
⑧ 子どもとの関りのスタンス
子どもと関わる私たちが関わることを止めるとそれは支援にはなりません、しかし、関わることが支援だというのも少々疑問を感じます。
なぜなら、指導員が関わればできることは減ります。できないことが増えれば問題も増えます。
ASTEPの子どもとの関りのスタンスとして、ある程度の距離を置いて見守り、子ども自身で考えさせる。SOSが出たら間髪入れず支援に入る。
そういうことが安心を作り出す結果につながるものだと考えています。(SOSが出せない子どもへの対処も忘れてはいけません。)
放課後等デイサービス事業所がよく使う言葉で”心地よい居場所づくり”という言葉がありますが、心地よい居場所というのはどういった居場所なのでしょうか?
障がいある子どもは、指導員がそばにいることが必ずしも心地良いはずだということではありません。
心許せる仲間たちと日々の活動を通して、支え支えられ、寄り添い合うことのできる居場所こそが、心地良いという感覚になれるものだと思っています。
時には、指導員の露出を減らすことも1つの関わりだと考えています。
⑨ 自己肯定感を育てる工夫
ASTEPでは”自己肯定感”を育てるための工夫を行っています。
ここでは例として”MVPボード”を紹介します。
MVP の表彰は、その日、自分ではなく友達のためにプラスな行動・言動があり良い影響を与えてくれた子どもに対して毎日行う1つの取り組みです。
表彰を受けると、大きなスゴロクを1つ進むことができます!「表彰されるとスゴロクを進めることが出来る」というゲーム性や、ある意味ご褒美を意識し、活動意欲の向上や他者への思いやりの気持ちに繋げる狙いを持って行っています。
MVPのために動くというよりも、友達のために動くという部分を意識できるように、実際のMVP表彰では、良かった行動やその背景、気持ちが理解できる形での言葉掛けを行っています。
その他にも、マイプロフィールをみんなが見えるところに掲示し、もし自信がなくなったときや尻込みしてしまう場面があったときに、自分のプロフィールに書かれている「強み」を見て、気持ちを奮い立たせ、成功体験へと導く工夫を行っています。
1日24時間のうち、ASTEPに来ている時間はたった数時間…その間は自分のことが好きになれるように意識できる環境づくりをしています。
⑩ 家庭との連携
この項目は、子どもへの支援と同じくらい大事にしている項目です!
ホームページのPolicy(理念)にも書かせていただいていますが、療育を実践する時間は有限であり、ASTEPで行う療育だけでは限界があります。
言い換えれば、ASTEPに通っているから大丈夫…ではありません。療育支援を効果的に成果を出すためには、ご家族さんの協力が必要不可欠なのです。
したがってASTEPの家族支援については、他事業所さんに比べて一歩・二歩踏み込んだ支援を行っています。
詳しくは、以下のリンクをご覧ください↓(ASTEPの理念)
また、他の事業所でいう”連絡帳”については、ASTEPでは”療育日誌”という名前で、親御さんへ共有しています。
その内容は、どんな活動をどんな目的でどんな目標を持って行ったか、療育支援の過程で指導員がどんな言葉掛けを行ってどんなリアクションがあったのか、成果を踏まえて今後の展望や修正案を共有し、いつもで見返す事ができるよう、日誌のような形でお送りしています。
この療育日誌については、ASTEPではこんな関わりをしてこんな成果がありました…で終わりではなく、こんな関わり方があるんだ!と親御さんに知ってもらうとともに、家庭でも出来る関わりをアドバイスとしてご提供する意味合いが強いものです。
実際に、ASTEPをご利用いただいている保護者さんの中には、1日のご様子を総括して気づきを共有いただいたり、ご利用日前に子どもの直近の様子を共有をしていただける保護者さんも多くいらっしゃいます。
そういった有難い情報共有は療育支援に活かせることが多く、支援の質を向上させる糧とさせてもらっています。
子どもの成長を効果的に見込むためには、家庭・学校・事業所との連携が最も大切だと考えています。方向性がバラバラだと子どもの混乱を招き、逆効果になることもしばしばあります。
可能な限り、統一性を持った支援目標に向けて連携体制を整える必要があるため、三位一体、密な連携を最優先支援項目として位置付けています。
さいごに
「子どもは無限の可能性を持っている」と、よく耳にする言葉ですよね!
しかし、常に良い方向に成長するかといえばそうではないかもしれません。一歩進んで二歩後退することもありますが、そういったことに対しても適切な評価を繰り返し行い、根気よく支援できるように万全の準備をすることが、「子どもの成長の一助となる」ということだと考えています。
子ども自身が「今」楽しい!だけではなく、将来を見据えた楽しさ(できて楽しいなど)を増やすことに目を向けた支援を今後も行っていきたいと思います!
多くの方にご見学に足を運んでいただき、ASTEPの名前を知っていただけるだけでも嬉しく思います。また、12月に入ると数回に分けての集団見学会なども控えており身の引き締まる思いです。
今回ご紹介してきました”10ヶ条”を含め、心を込めてご案内させていただきます!
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