自己選択・自己決定の支援って、本当にできていますか?
デイにきている大きな理由というか、経験をさせたいことの1つ【自己選択・自己決定】
どの支援の現場でも【自己選択・自己決定】を意識している事業所も多いと思いますし、人権を大切にした取り組みとして位置づけている事業所さんもあると思います。
ただ、実際には「自己選択・自己決定」を勘違いして進めてしまっていることがあるかもしれません。
本記事では、ありがちな誤解について一緒に見直していく中で、1つでも気づきがあれば嬉しいです◎
目次
支援者の意図が見え隠れする言葉・視点
- 「こっちの方がいいんじゃない?」
支援者として、「あなたのためにはこっちがいいよね」と思ってしまうことがありますよね。でも、それが無意識に相手の選択を誘導してしまうことがあります。 - 「これを選んだから自己決定できた!」
支援者が選んだ選択肢を子どもに提案して、子どもがそれを選んだから「自己決定できた」と解釈していませんか?実際には、支援者が選んだ選択肢の中から選ばせているだけかもしれません。 - 「自分で選んだんだから責任持って!」
子どもが選んだ後に、その選択が間違っていることに気づくこともあります。そのときに「自分で決めたんだからダメだよ」と突き放してしまうことはありませんか? - 情報を与えずに選ばせる
メリットやデメリットを伝えず、表面的なことだけで選ばせていませんか? - 「みんなが選んだものだから」
メリットやデメリットを伝えず、表面的なことだけで選ばせていませんか?「みんなが選んだから楽しいよ!」と多数決を重視して、集団に合わせて選ばせていませんか? - 急いで選ばせる
「時間がないよ」と急かして、じっくり考える時間を与えずに選ばせていませんか?
これらのような状況では、子どもたちが自分の本当の気持ちで選べない状態を作ってしまっているかもしれません。そして、支援者が責任を負わせているのに、それが支援だと思い込んでいる可能性もあります。
支援者視点からの反省
自己選択・自己決定の支援をするには、情報の出し方や選択するための環境作りが大切です。本人主体とは何かをもう一度考えてみましょう。
- 選択肢の提供
本当に多様な選択肢を提供していますか?支援者の意図で選択肢を絞っていませんか? - 情報の共有
選択肢に関するメリット・デメリットをしっかり伝えていますか? - 時間の確保
子どもたちがじっくり考えられる時間を与えていますか? - 選択後のサポート
選択後に支援が必要な場合、適切なサポートを提供していますか?
ケーススタディ
放課後デイサービスASTEPで、余暇活動の時間に子どもたちが自分で遊びを選ぶ機会を提供します。
支援者(子どもたちの意思決定をサポートする経験豊富な支援者)は自己選択・自己決定の練習として、子ども(知的障害があり選択肢を提示されると混乱しがち)が本当にやりたいことを選ぶ手助けをします。
選択肢の提供
支援者は、余暇活動の選択肢を4つほど提示しました。
- トランポリンで遊ぶ
- 絵を描く
- 音楽を聴く
- パズルをする
情報の共有
支援者は、各選択肢の内容とメリット・デメリットを簡単に説明します。
- トランポリンで遊ぶ:体を動かして楽しいけど、少し疲れるかも。
- 絵を描く:静かに楽しめるし、絵が上手になるよ。
- 音楽を聴く:リラックスできるけど、眠くなってきちゃうかも。
- パズルをする:できたら気持ち良いけど、座ってる時間が長くなるよ。
視覚的サポートの活用
Aくんが選択肢を理解しやすいように、各活動のイラストや写真を用意し、視覚的に活動の内容を理解しやすくなります。
選択のサポート
支援者はAくんに「今日は何をしたい?」と聞きますが、すぐには答えを求めません。Aくんが選択する時間を確保し、焦らせないようにします。
質問と確認
Aくんがトランポリンを選んだ後、支援者は「どうしてトランポリンを選んだの?」と聞きます。これは太郎くんの選択理由を確認し、自分の意志で選んだことを認識させるため。
選択後のサポート
Aくんがトランポリンで遊び始めた後、もし疲れたら休憩することもできることを伝え、状況に応じたサポートを行います。Aくんが疲れてきた場合は、支援者は「少し休む?」と声をかけ、彼が自分の体調を考えた選択をできるように促します。
さいごに
本来、【自己選択・自己決定】のプロセスはこれだけあるんですよね。
支援者自身としては、支援を受けずに日常の多くのことを選び、決定していると思います。でも、もし支援を受ける側になったときに、正しく選択できる環境がなかったらどうでしょうか?そうした状況を想像してみると、支援の仕方を見直すヒントが見えてくるかもしれませんね。
そして、みんなで考えるということも大事です。自己選択・自己決定を促す支援の仕方については、一人で考えるよりも複数の支援者でアイデアを出し合う方が良いかもしれません。
良くない支援が日常化しないように、今以上に良い支援を目指して改善していきたいですね!
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