こんにちわ!ASTEPの児童指導員、みなぐちだいすけです。
LINEやご送迎時のやりとりの中で「じっとできない、外でも中でも動き回って困っている、集中力がない」などのお悩みを持つ親御さんがいます。
学校の先生に学校生活の様子を積極的に聞く中で、授業を落ち着いて聞けない、ふらふらと立ち歩いてしまうなどの話を聞くこともあります。
ASTEPでの取り組みの目的をご説明する際に「話を聞く姿勢」「取り組みへの態度」などの言葉をよく耳にされているかと思います。実際取り組みを立案する際に作成しているLP(レッスンプラン)には必ず、姿勢・態度の向上を療育のねらいとして作成しています。
姿勢・態度を向上するひとつの手段としてポイントなのが「子どもの観察」と「休憩のコーディネート」です。
今回は、子どもたちの姿勢や態度を向上させるアプローチに焦点を当て、集中力を高める支援の方法を解説していきます。
目次
動き回る子どもの気持ちを考える
子どもがその場所から離れてしまう時は、それまで静かに座っていて突然立ち上がるわけではありません。
よく観察していると、立ち上がるまでにさまざまな前触れがあります。
座っているうちに何となくソワソワし始め、やがて、脚を伸ばしたり、三角座りをしたりします。椅子に座っているときも、脚を組む、脚に自分の足をからめる、椅子の上に片膝を立てる、さまざまな動作が見え始め、椅子から立ち上がるのは最終段階です。
そのようなソワソワした姿勢は、行儀という面ではあまり好ましいものではないので、「じっとしなさい」「ちゃんと座りなさい」などと小言になりがちです。
しかし、子ども側からすると、ソワソワした動きをしながらも、なんとかその場所に留まろうとしている努力のあらわれなんです。
私たちは、そんなお子さんの気持ちを汲んであげるように「長い時間ちゃんとお話しが聞けてえらいね!」「もうすぐ終わるみたい、もう少し一緒に話を聞こうか?」などの声掛けを行い、頑張ろうとしている子どもたちに寄り添ったアプローチを行いながら姿勢や態度の向上を促しています。
時には上手くいかないこともありますが、何度も何度も繰り返し行うことが大事です。実際にASTEPでは成長が見られています!
姿勢・態度の向上を促すアプローチ例
ASTEPで行っているアプローチを一部ご紹介していきたいと思います。ご家庭でも是非取り組まれてくださいね!
練習は短時間から
椅子に座っていられる時間は人によってさまざまです。3分~5分で立ち上がりたくなってしまう子どもが、学校の授業の数十分間を座り通すのは、おそらく不可能です。最初はごく短時間から、座る練習を行ってください。
ASTEPを初めて利用される子どもは、まず、様子をよく見つめ観察し、どのくらいの時間なら座っていられるかを確認しています。
たとえば3分座っていられるお子さんなら、3分前後の練習を活動の場面を捉えて何度も繰り返し、子どものやる気を高める声掛けを挟みながら、少しずつ練習時間を延ばしています。
大事なことは、職員(保護者)がその子の集中力が持続する時間と、練習の時間を把握することです!
座る練習に集中する
子どものそれぞれの集中が持続する時間を把握したうえで、限界の時間(例えば3分間)で、子どもが好きな遊びや簡単な学習課題を行い、負担なく集中できるようにします。
難しい学習課題を行うと、座るために割くエネルギーが減ってしまいますので注意が必要です。
ここでの目的は課題ではなく、座る事に集中することです。子どもが楽しみながら座る事ができるようなアプローチを挟みながら実践ください!
限界点を見極めて声をかける
座っている間に、よくよく子どもの様子を観察し、脚をばたばた、視線をキョロキョロしだして、今にも立ち上がりその場所から離れてしまいそうな時を見計らって「しっかり座れてえらい!」「よく頑張れてるね!」などのポジティブな声掛けをして、頑張る気持ちを取り戻させてあげてください。
ポジティブな声掛けとともに、ASTEPでは具体的な時間で伝えたり、時計の針で認識できるよう示しています。
子どもの限界の時間を知る上で、時間を計測すると具体的で伝わりやすく、こちらも把握できるので有効ですよ!
限界を超えた少し先で止める
例えば、ある子どもの限界の時間が3分とすると、3分10秒~30秒くらいのところで練習を切り上げ、集中できた時間が長くなったことをたくさん褒めてあげてください。
これを繰り返して、座っていられることに対して自信をつけてあげてください。
限界の時間を高望みしてしまって、強要してしまうこと(もうすぐ〇分だからもう少し座ってて!)は避けてください!あくまでも楽しさの中で達成感を味わえるような形が理想です!
休憩をコーディネートする
姿勢・態度の向上を促すアプローチと同じくらい大切なこと、それは…
私たち大人は、仕事中に、ただひたすら座っているわけではありませんよね。トイレに行ったり、コーヒーを飲んだり、背筋を伸ばしたり、いろいろな動作を行い休憩をとってコントロールしています。
一方、子どもたちにとっては、自分で自分の休憩を作り出すことはなかなか難しいです。
授業中に勝手に部屋を出ることはできませんし、席を立てばたちまち先生からの注意の言葉が飛んできます。そもそも休憩することの大切さに気付いていないことも多いのです。
そんな立場にある子どもに、大人が積極的に、子どもたちの休憩をコーディネートをしてあげることが大事なんです。
休憩のコーディネートのアプローチ例
ASTEPでは休憩のコーディネートを積極的に行っています。ASTEPでの各場面で一例を挙げてご紹介していきますね!
宿題時間の休憩のコーディネート
ASTEPでは、多くの子どもが帰ってくるなり学校の宿題に取り組んでいます。何の声掛けもなく自主的に取り組める子もいれば、気づきを与えて宿題に取り組む子、気づきを与えても拒否する子などさまざまです。
なかなか集中して宿題に取り組むことが難しい子には、可能な限り職員を1名配置させます。その様子を見守り観察しながら、途中でこまめに休憩を挟みます。
集中が切れる一歩手前を見計らい、大人と一緒に身体を動かしたり、手遊びをしたりなど学習に向かう集中が途切れない程度の気分転換をさせています。
休憩(気分転換)に入る前に「休憩したあともい1回やってみようね!」などの声掛けをすると更に意識が向き、取り組める可能性がアップします!
おやつ時間の休憩のコーディネート
みんな大好きおやつの時間も休憩をコーディネートする時が稀にあります。
おやつの時間が休憩とも捉えられますが、じっと座って食べることが難しい子も中にはいます。
そんな時は、おやつに関するお手伝いをしてもらっています。わざと少し離れたところにティッシュを置いておき、必要な時に1枚ずつ取ってきてもらったり、お茶を注いでもらったりなど、その場所から立ち上がる機会を与えています。
一度立ち上がることで気分転換の機会を与え、おやつを完食できるようアプローチを行っています。朝食や夕食の時にも活用できますよ!
活動時の休憩のコーディネート
活動中(特に座って行うSSTなど)にも積極的に休憩をコーディネートしています。
学校の授業と似たシチュエーションの時に、どうしても姿勢が崩れたり、その場を離れたりする子がいます。
そんな時は、座る姿勢を変えてあげるのも一つの方法です。職員の膝の上に座らせたり、小さな椅子に座らせ直したりすることで、姿勢を変えてあげます。そうすることで、姿勢の面でも気持ちの面でも切り替えを行えるよう促します。
それでも集中が切れてします場合は、短時間で場所を変え、宿題時でご紹介したアプローチ(軽い運動や手遊びなど)を短時間行い、場所に復帰するよう促しています。
ここでも、子どもの「観察」は必須!集中が切れて動き出す前に、大人がアクションを起こしてあげてください!
まとめ
このような働きかけを続けることで、子どもは少しずつ座っていることに慣れ、集中力が身に付いていきます。
姿勢や態度、じっと座れる時間がすぐに劇的に伸びるわけではありませんが、大切なのは、その場を離れ動き回って叱られる体験ではなく、短時間でも座っていることを褒めてもらえる体験が増えることです。
子どもの集中力アップは、大人にとっても子どもにとっても嬉しい変化です。子どもの自己肯定感を育みながら、ご家庭でも楽しく練習を進めてみてください!