大学では社会福祉学部に在籍、福祉心理を専攻し、某アパレルメーカーに就職
前職は公務員として11年間勤務し、1000人規模の職場で心理カウンセラーとして様々なお悩みを聞き、解決に尽力してきました。
こんにちは!こんばんは!児童指導員の、みなぐちだいすけです。
さて、今回の記事については『SOSの発信』についてです。
自立というのは社会進出、いわゆる労働により所得を得て、自分で生活をしていくことだけが自立ではありません。
最低限自分の身の回りのことができるようになること、思いを言葉や行動で示せるようになること、これも自立に含まれます。
したがって、子どもそれぞれに自立の形というのは存在します。
特に、発達に特性を持つ子どもは、自分の意思を伝えることや理解してもらうことに苦労しやすいというケースが多くあります。
自立の鍵と書かせてもらっているとおり『SOS』が出せるか出せないか、更には、SOSが伝わらなかった場面における自分の気持ちへの対処ができるか?という部分は、誰しもが必要な能力(スキル)であり、それが出来るか出来ないかで、今後、人生の豊かさ大きな差が出てくるくらい大事なことなのです。
ASTEPでは『SOSの発信』について、療育の重要項目と捉えており、日々の活動において”明確なスタンス”をもって子どもたちに接しています。
子どもの発達にお悩みを持つ親御さんや通所支援事業所の指導員の方に読んでいただき、参考にしていただければと思います。
目次
SOSが発信できないとどうなる?
発達障がいは先天的な脳機能の障がいとされていて、生活の様々な場面において苦労をするケースがあります。
子どもでいえば学校で、友達との関わりの中で困難やトラブルを招いてしまうこともあります。
トラブルはトラウマとなり、同じ思いをしたくないために他者とのかかわりを避けてしまうケースも考えられます。
そして「辛いのはわかっているのに、伝えても分かってもらえない」このようなマイナスな感情を抱えてしまい、辛さやストレスを溜め込んでしまうことがあります。
そういった感情からいつも一人で解決しようとする行動に表れます。そういった行動を見た周囲の友達は「友達を必要としていない」「一人で何でもしようとしている」ように見えてしまい、かえって関係が悪くなってしまうなどの問題も生ずるおそれがあります。
そういったトラブルや困難に対するストレスを抱え込んだままだとどうなるのか、お分かりですよね…心身を崩してしまいます。
そして、一度崩れた身体や心を元の状態に戻すためには多くの時間や本人の頑張り、周りのサポートが必要となります。
SOSを発信しやすい環境を整える
ここでは実際に子どもたちに行ってもらう具体的な対策(相手を否定せず伝える・紙に書いて伝えるなど)のSOSを出せるようになるためのスキルははお伝えしません。
実際に自分からSOSを出すことのできる子はそういませんし、スキル的なトレーニングをしても心が追いついていなければ大きな効果も得ることが出来ません。
したがって、SOSが発信しやすい環境を整えること、そして、心から少しずつ変えていくことが効率の良い方法なのではないでしょうか?
それは、ASTEPだけでなくご家庭でも一緒で、SOSを発信できる環境は生み出すことができます。
ここからASTEPの対策(スタンス)をお伝えしていきますので、是非、参考にしていただければと思います。
子どもからのSOSに対する対処
まず、大前提として「観察」をすること、これが一番大事です!
ASTEPで言いますと、行動や言動、表情などの観察はもちろん、身体や衣服、持ち物の状況、親御さんからの情報、何気ない会話の中で出た不穏と取れるような言葉も全て、会議の場で管理者に報告するよう徹底しています。
SOSを発見できるよう常にアンテナを張っている状態というイメージです。
子どもは大人よりも未熟で当たり前、上手くSOSを発信できないのも当然、という考え方であるため、指導員(大人)側から汲み取る準備ができているかが大切になってきます。
そして仮に、SOSと感じることがあった場合の話をしていきます。
まず、子どもからの困りごと(SOS)を聞いた時にしてはいけないこと…
- それは難しいですね(諦め)
- どうしたらいいかなぁ(平行線)
- 学校のことだから先生に相談しよう(転嫁)
- もうちょっと考えてみようか(先延ばし)
このように”すぐに解決できない話”として、子どもが諦めて困りごとを持ち帰っていることはよくある話だと思います。
私たち指導員が、このような態度になって、子どもが相談しても上手い言葉でかわされて、その日に1ミリも解決しない場合、その子どもの気持ちとしてはどんな変化を起こすのか…想像できますね。
ここで、自分だったら?と考えてみてほしいです。
私だったら「この指導員は解決できない人だな」という印象を持って他を当たろうという気持ちになると思います。
きっと子供たちも一緒です。「この人には頼れないな」という感触を持つ子もいるのではないでしょうか。
その子どもが、他の指導員を頼ってくれれば、まだ良いとは思うのですが、こういった対応をしてしまうと、そのあとに問題が起きやすくなります。
その問題とは、子どもが、どこも頼らなくなることが起きやすくなり、困りごとが発生した時に、自分だけで何とかするしかないと解釈することです。
他者への不信感や、自信のなさに繋がるようなことになれば、相談を受けた指導員は、支援をしたことにはなりませんし、放置する行動になると人権侵害にさえつながります。
したがって、相談を受ける指導員(大人)は、即効性を持って支援するべきで、子どもが大変な思いをしつつ、ようやく今SOSを出してきたと感じ取るべきなのです。
そして我々指導員(大人)は、自分だけで対応できない可能性もあるので、日頃から様々なSOSに対応できるように、情報(相談に対する事例をまとめたり)や人材(相談できる繋がりや機関)そして、受け応えの仕方を集めておくなどの準備が非常に大切です。
そしてSOSが出てきたら、その日のうちにちょっとでも心が軽くなる、そして安心感が持てるような答えをしてほしいと思います。
相談してきた時点で、もう、ぎりぎりの子どももいるかもしれません。
よく相談をしてくれたという気持ちで困りごとを迎え入れ、その場でできることをすることです。
SOSは、今だからSOSであって、今支援を開始することで、複雑にならず解決しやすくもなります。
『SOSが来たその時点から絶対に支援をスタートさせる』というのがASTEPのスタンスです。
さいごに
いかがでしたか?
子どもがSOSを発信することができるようになる一番の近道は、SOSが来た時点でどんな支援をするのか?が大事になってきます。
したがって、親御さんや事業所の指導員は、子どもからの相談が来るまでの間、そのSOSの兆候が見受けられるまでの間、しっかりと準備をすること。
そして、SOSに対するアンサーによって”安心感”を与えられるかにかかっています。
そういった日々の支援で繰り返し感じる事のできる安心感は、子どもがSOSを出しやすい環境を作り出し、結果的に子どもがSOSを発信できることに繋がってくるのです。
参考にしていただければ幸いです。
お問い合わせはこちら